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木材需要と供給体制の課題

財団法人日本木材備蓄機構 理事長  小笠原正男
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第二次世界大戦後四十年以上の長期にわたる官民の林業関係者の営々たる努力によって、わが国の人工林は今や一千万ヘクタールを超え、全森林面積の四割以上を占めるようになり、森林資源の充実は目をみはるものがあるが、国産材の生産者からみると、消費者が思うように国産材を使ってくれないので、再生産のコストが償えないという悩みがある。

ところが、他方では、過去二十年間にわたって、わが国は世界最大の木材輸入国であり、最近アメリカや東南アジアの自然保護団体や関係有識者がこぞって日本の外材輸入政策を非難する程に、わが国の木材、合板、紙パルプ等の需要は根強いものがある。

この両者のギャップはどこにあるのだろうか。

アメリカのウエハウザー社の数項目の社是の第一に掲げられているは、需要(DEMAND)であるが、日本の森林・林業政策の中心が、森林(FOREST)、材木(TREE)に置かれてきたのが、大きな原因ではなかろうか。

林野庁(ここでも「林野」庁である。

)も、時代の要請に即して五年前に木材流通対策室を設置し、更に昨年はこれを木材流通課に昇格させる等、いわゆる川上から川下へと、行政の重点を移し始めてきた。

しかし、まだ林業関係者のいう「川下」は、客観的にみれば「川中」に過ぎないことが多い。

故中川藤一さんは、長年の豊かな経験から、つとに、最終消費者の需要動向を的確に把握して迅速に供給側に伝え、需要に適合した商品を速やかに消費者に提供できるような、情報体制、生産供給体制の整備、物流・商流の近代化を提唱されてきた先覚者である。

志半ばにして急逝されたのは誠に痛恨の極みで、余人をもって替え難い大切な人を失ったような寂ばく感に覆われている昨今である。

しかし、いつまでも嘆いてばかりはいられない。

木材の需要は確実にそこにある。

その需要を満たすために、わが国の林業・木材生産・流通関係者が一致結束して努力することを誓いたいし、そのことが故中川さんの御冥福を祈ることになろう。