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木材流通とは

第7章 木材流通経営の基本的な心得

「卵は一つの篭に入れたらいかん」

それから「卵は一つの篭に入れたらいかん」という諺がありますけれど、割れやすい卵は一つの篭に入れておいたら、ひっくり返った時に全部割れてしまうからいかん、やはりリスクは分散しておかなければならない、ということです。

 自分の店のウエイトの五〇%以上も占めるお得意先を持つということは、非常に危険だということを知るべきです。そのお得意さんが倒産しなくとも、何かの理由で方向転換をしたならば、そのお得意さんへのウエイトが大きいだけ、一遍で自分の店が立ち往生してしまいます。

 ある木材業者が、Aという日本で上位の音響メーカーの下請けとしてそこに納める木材の全てを扱っていた。ところが、その音響メーカーがアメリカに工場を移してしまった。音響メーカーとしては、アメリカへの輸出が非常に多かったので、アメリカへ工場を移すことによってアメリカとの経済摩擦を少なくしようと思って工場を移したわけで、その音響メーカーとしてはそれでよかったのです。だが、そのメーカーの木質部門を担当していた木材業者は、アメリカまでついて行くわけにはゆかないので、いままで操業していた工場は二割くらいの操業率になってしまって廃止せざるを得なくなった。しかし、その店は、同時に余分な土地を安く買っていたので他の方向へうまく転進できたのです。そういうこともあるわけです。 また、一戸建て住宅ばかりやっていたら、建築の流れが一戸建て住宅からマンションに替わった時には具合が悪いとか、あるいは土木の杭丸太ばかりやっていた店は、コンクリートパイルが出てきたんで一編に駄目になったとか、あるいは杉の電柱ばかりやっていた業者は、コンクリート電柱の出現でみるみる間に商売先がなくなってしまったとか、そういう事例は沢山あります。だから、先に述べたように力のあるうちに現在やっているものに替わるべきものを次々とやっていた業者だけが残って、それをやらずに、ただ一つのところばかりを追究していたところが、だんだんと抜け落ちているというのが現状なのです。

そういう意味で、力のあるうちに新しい投資をするということと、リスクの分散を図るということは共に大事なことであるわけです。