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平井信二先生の樹木、木材研究

カワラケツメイ属の樹木
6.コチョウセンナ
 コチョウセンナジャバセンナcassia javanica LINNAEUSは二三の変種を含めてマレーシア、インドネシア、インドシナ、支那南部、フィリピンに分布し、また東南アジア地域で鑑賞用に植栽されている。英名をJavanese cassia、apple-blossum shower、pink shower、マレー名をtrenggoeli、フィリピン名をanchoan、cana- fistulaなどという。ふつう小高木で、ときに高さ20mまでになる。小葉は5~15対あって長楕円形、少し軟毛がある。托葉は大きい。総状花序を下垂して出し、花弁は淡紅色で濃紅色の脉があり、雄ずいは黄色、雌ずいは緑色、暗紫色を呈し、リンゴの匂 いがする。豆果は円柱形で長さは20~60cm、幅は約2cmである。
 心材は紅褐色、濃褐色など、木理は交走し、肌目は粗。リップルマークが不明瞭ながら認められることがある。組織の要点をあげる。道管は散在しているが、やや周期的に径が増減しているのが見られる。単独または放射方向に2~3個ときに5個までが 接続し分布数は3~6/mm2、径は0.04~0.25mm、単せん孔をもつ。基礎組織を形成するのは真正木繊維で、径0.01~0.02mm、壁厚は0.0025~0.004mmである。軸方向柔組織では周囲柔組織が発達して長い翼状柔組織になり、ときにさらに連結して帯状柔組織の 形にまでなるが、その輪廓は著しく不規則である。道管孔を外れた部分で放射方向にふつう12~20細層、道管孔の上下で3~10細胞層あり、これらの中に隔壁結晶柔細胞が散在する。その隔室は8~20個である。柔細胞の径は0.015~0.04mm、壁厚は0.001~0 .002mmである。放射組織は1~2細胞幅、ときに3細胞幅、3~20細胞高で、その構成は平伏細胞からなる同性である。
 材の気乾比重に0.68~0.90の範囲の記載があり、やや重硬であるが、乾燥、加工は困難でない。耐朽性はやや大きく、家屋建築、家具、器具、枕木、独木舟その他および燃材の利用がある。  
7.ホソバセンナ
 ホソバセンナインドセンナ、チンネベリセンナCassia angustifolia VAHLはまた単にセンナ(旃那)ともいわれ、英名はIndian senna、Tinnevelly senna、Arabian senna、独名はindische Senna Cassie、インド名はsenna、senna pat、sanna mukki Hindi-sanna、sunna makhiなどという。インド、アラビア産で、下剤としてよく知られているセンナ葉は(sennae folium)のうちの東洋産の代表的なものである。
 高さ1mほどの常緑小低木で、葉は長さ20cmまで、小葉は皮針形で4~10対あり長さ2~3cm、先端は尖がる。総状花序に淡黄色の花をつける。豆果は楕円形で長さ4~7cm、幅1.7~2cmで弯曲する。中に8~9個の暗褐色の種子を含む。有効成分はセンノサイド ほか数種のアントラキノン誘導体である。19世紀にインドからイギリスに輸出が始まった。  
8.ミミセンナ
 ミミセンナ(タンニンセンナ、マタラチャ)Cassia auriculata LINNAEUSはインド、セイロン、ビルマ産で、英名はtanners'cassia、matara tea、インド名はtarwar、tarwara、avaram、セイロン名はranawara、avarai、ビルマ名はpeikthingotという。高さ2.5mまでの常緑の低木で、小葉は8~12対、長楕円形で長さ1~3cm、下面に細毛がある。葉の基部に腺体があり、托葉は耳形で大きく宿存す る。腋生または頂生の総状または円錐花序に鮮黄色の花をつける。豆果は長さ7~12cm、幅約2cmで扁平、有毛である。
 材は褐色で硬い。樹皮にタンニンを含み、インドの鞣皮用植物の主なものの1つであり、また染色に用いられる。葉は乾燥して茶のように飲用し(matara tea)、葉を下剤、若枝を歯楊子にする。これらのほか、観賞用花卉、緑肥用のためにも栽培される。  
9.Cassia marginata ROXBURGH
 Cassia marginata ROXBURGHはインド、セイロン、ビルマ産で、インド名をurimidi、vakaiなど、ビルマ名をngoomeeという。落葉小高木で、枝を下垂して樹姿が優美である。樹皮は褐色で深い割れ目が出る。花は腋生の総状花序につき淡紅色、豆果は円柱形で長さ20~30cm ある。心材は淡褐色で、材の気乾比重は0.94~1.28、きわめて重硬で耐朽性が高い。旋削したものや道具の柄などの器具材、車のこしきその他の利用がありまた燃材に用いられる。観賞用に植栽される。  
10.Cassia montana HEYNE
 Cassia montana HEYNEはインド南部・西部産で、インド名をkonda tangeduなどという。大低木で小葉は10~15対、長楕円形、散房状の総状花序が大きい円錐状に複生して枝に頂生し鮮黄色の花をつける。豆果は長さ7.5~12.5cmで扁平である。材は黄褐色で、生長輪が認められ、重硬で気乾比重0.99の記載がある。  
11.バライロモクセンナ
 バライロモクセンナCassia nodosa BUCHHAMILTON ex ROXBURGHはインド東北部、ヒマラヤ地域、バングラディッシュ、ビルマ、アンダマン諸島、支那南部、インドシナ、マレー、ジャバ、スマトラ、ボルネオに産し、英名はpink cassia、pink shower、pink and white shower、joint wood、バングラディッシュ名をsonalu、bon sonalu、ビルマ名をbusok busok、bebusok、sebusok、bereksaという。高さ27m、ときに35mまでになる常緑高木で、樹皮は灰褐色で平滑である。葉は長さ25~30cm、小葉は5~12対あって卵形~長楕円形、長さ2.5~6.5cm、托葉は小さい。花は長さ15cmほどの円錐花序につき、初め白 色でやがて淡紅色となるが、コチョウセンナより花色は淡い。豆果は円柱形で長さ30~60cm、幅約2cm、黒色となる。
 散孔材で、心材は淡褐色から紅褐色、やや生長輪が認められるものがあり、リップルマークが見られる。道管は単独、ときにおもに放射方向に2~3個が接続し、分布数は6~14/mm2である。径は0.035~0.25mmで単せん孔をもつ。基礎組織は真正木繊維で 径は0.01~0.02mm、壁厚は0.003~0.005mmである。軸方向柔組織では周囲柔組織とこれが発達した翼状柔組織が著しいが、同属の中では層が比較的薄い。翼状柔組織は接線方向に10~20、ときにそれ以上の細胞が連なり、放射方向には道管孔を外れて2~12 細胞層、道管孔の上下で0~7細胞層ある。隔壁結晶柔細胞はきわめて少なく、隔室は8個までである。柔細胞の径は0.015~0.04mm、壁厚は0.001~0.002mmである。放射組織は1~2、まれに3細胞幅で3~18細胞高。ほとんどが平伏細胞からなる同性であるが 、まれに軸方向上下縁1層が、放射方向の長さが短い方形細胞に近い形のものとなる。
 材の気乾比重は0.64~0.88でやや重硬、耐朽性はかなり高いとされる。家屋建築、道具の柄などの器具材、燃材その他に利用される。花が美しいので広く各地で庭園樹に植栽され、また並木にも用いられる。
 ハワイでrainbow showerとして植栽しているのは、このバライロモクセンナコチョウセンナの交配種で、花は紅燈色などや乳白色を帯びたものなどがあり、ホノルル市の並木になっている。 平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る