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平井信二先生の樹木、木材研究

シンドラノキ属の樹木(その4)
13.Sindora velutina J.G.BAKER
 Sindora velutina J.G.BAKERはマレー、スマトラ、ボルネオ産で、Sindora parvifoliola SYMINGTONはその異名とされる。マレーでsepetir beludu besar、sepetir beludu kechil、サラワクでensunut、インドネシアでsindur、kaparantu、kayu bulanという。
 高さ30m、まれに40m、直径1mまでになる高木で、樹幹は円柱状、通直、樹皮は灰緑色~灰褐色を呈し平滑である。葉は偶数羽状複葉で、小葉は4~6対、卵状長楕円形など、長さ3.5~12.5cm、幅1.5~5cm、先端は凸頭にテーパーし基部は円形~広い楔形、 革質、上面は無毛、下面は密に絨毛を布く。円錐花序は長さ15cmまでで、がく裂片に長い粗毛を生じ刺はない。豆果は円形~卵形、長さ12cmまでで細長く硬い刺を多く生ずる。種子1~2個を含む。
 材は散孔材。心材は淡褐色~紅褐色で暗色の縞が出るものがある。顕微鏡写.真によって材の組織の概要をあげる。道管は単独およびおもに放射方向に2~4個が接続するものがあり、分布数は1~6/mm2、径は0.03~0.16mmで、せん孔板は水平に近く単せん 孔をもつ。材の基礎組織を形成する真正木繊維の径は0.01~0.025mm、壁厚は0.003~0.005mmである。
 軸方向柔組織のうち、周囲柔組織は0~3細胞層で僅かに接線方向に4細胞まで翼状にのびるものがある。ターミナル柔組織は放射方向に4~8細胞層で垂直樹脂道を内包する。散在柔細胞は放射組織に隣接して放射方向にある程度間をおいて並ぶものが目立 ち、5~30室の多室結晶細胞であることが多い。垂直樹脂道はターミナル柔組織の中にあって同心円状の接線方向にやや密接して並び、分布数は0~6/mm2、径は0.03~0.07mmである。
 放射組織は1~4細胞幅、2~45細胞高で、その構成はほぼ同性またはややあいまいな異性である。単列部の大部分および多列部の一部は直立細胞、方形細胞または大型の平伏細胞、他は小型の平伏細胞からなるが、これら細胞種の形態は移行的である。
 材の気乾比重に0.52~0.73の記載がある。材は市場でsepetirとして扱われ、材面に縞が出る美しいものは高級家具、キャビネット、建築装飾材に使われ、その他は建築構造材および造作材、家具、器具などの一般用材となる。樹幹からの油は薬用と される。     平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る