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平井信二先生の樹木、木材研究

リュウキュウモクセイ
1.リュウキュウモクセイ
 リュウキュウモクセイOsmanthus marginatus HEMSLEY(異名Osmanthus bracteatus MATSUMURA、Osmanthus sinensis HANDEL-MAZZETTI)は中之島以南の琉球列島、大東島、台湾、支那中部・南部、香港に分布する。中国名を厚辺木犀、月桂という。
 高さ5~10mの常緑小高木で、ときに15mまでになる。小枝は灰白色で無毛である。葉は対生する単葉で、長楕円形など、長さ5~17cm、幅2~7cm、短い鋭尖頭、基部は楔形または広い楔形、ほぼ全縁であるがまれに上半部に疎い不明瞭な鋸歯が出る 。縁は僅かに内曲する。厚い革質で両面は無毛、小さい腺点をもつ。側脉は5~7対あって不明瞭である。葉柄は長1~3cmで無毛である。
 6~7月に開花し、雌雄異株である。花は集散花序が複成して密集した短い円錐花序になり、腋生まれに頂生する。花序に3~5対の広卵形で鱗片状の包をもち、花梗の長さは0.5~2mmである。がくは4裂する。花冠は淡黄白色鐘形、長さ2~4mmで4裂す る。雄花は雄ずい2個のみを具え、雌花は雌ずい1個をもち、子房は卵形、柱頭は2裂する。石果は楕円形などで長さ1~2cm、11~12月に熟して青黒色を呈する。
 材はヒイラギと同様で、小さい道管が多数集まり、道管状仮道管、柔組織と共に火焔状などの不規則な配列をする紋様孔材である。道管の断面形は多角形で、径は0.03~0.05mm、分布数は80~150/mm2、せん孔板は傾斜し単せん孔をもつ。検鏡した標本 では内壁にらせん肥厚が認められなかった。道管状仮道管、真正木繊維はヒイラギ同様である。軸方向柔組織では、周囲柔組織が道管の周辺にあるが、その発達は少い。ターミナル柔組織は放射方向に2~4細胞層である。また単独で散在の柔細胞も僅かに 存在する。放射組織は1~2、ときに3細胞幅で、単列のものが多い。1~18細胞高である。構成は異性で、単列のものおよび多列のものの上下両端単列部、ときに多列部分にも僅かに混じって直立細胞または方形細胞あるいは放射方向の長さが小さく軸方向 の高さが大きい大形の平伏細胞がそれらを構成し、その他の多列部分は小形の平伏細胞からなっている。 
2.ナタオレノキ
 ナタオレノキ(シマモクセイ、サツマモクセイ、ハチジョウモクセイ、ナタハジキOsmanthus insularis KOIDZUMI(異名Osmanthus zentaroanus MAKINO、Osmanthus hachijoensis NAKAI)は本州の一部(伊豆諸島、福井県青島、山口県)四国(愛媛県)、九州、対馬、琉球、小笠原諸島、朝鮮南部(巨文島)に分布する。
 高さ4~10mの常緑小~中高木で、ときに高さ20m、直径1mに達するものがある。樹皮は灰色、小枝は灰色で無毛である。葉は対生し、長楕円形などで長さ4~13cm、幅1.5~5cm、長い鋭尖頭、基部は鋭形、全縁であるが若い枝ではときに刺状鋸歯のものが 出る。側脉は6~9対あるが不明瞭である。革質で無毛、両面に腺点がある。葉柄の長さは1~2cmである。
 10~12月に開花し、雄花と両性花は異株となる。花は数個が葉腋に束生し、円状卵形の鱗片状の包をもち、花梗の長さは7~10mmで無毛である。がくは皿形で4深裂する。花冠は白色、鐘形で長さ約4mm、4裂する。雄花には雄ずい2個と退化雌ずい1個 があり、両性花には雄ずい2個と雌ずい1個をもつ。子房は広卵形で柱頭は2裂する。石果は狭楕円形で長さ1.5~2.3cm、熟して青黒色となり下垂する。
 栽培品に花が黄色の品種Osmanthus insularis KOIDZUMI forwa aureus HATUSIMAがあり、また葉の幅が狭い変種ヤナギバモクセイ(オキナワモクセイOsmanthus insularis KOIDZUMI var.okinawensis YAMAZAKI(異名Osmanthus okinawensis HATUSIMA)が沖縄島に生ずる。葉は狭皮針形で長さ6~9cm、幅1~2.5cmである。
 ナタオレノキの材はきわめて重硬である。 
3.オオモクセイ
 オオモクセイOsmanthus rigidus NAKAIはトカラ列島に生じ、固有である。
 常緑の低木~高木で、高さ3~15mとなる。小枝は灰色を呈し無毛である。葉は対生し、長楕円形などで長さ7~14cm、幅2.5~6cm、短鋭頭、基部は楔形を呈する。全縁、側脉は5~8対あって不明瞭、厚い革質で、両面は無毛、微小な腺点がある。葉柄 の長さは1~2cmで太く無毛で基部は紅色を帯びる。
 11月に開花し、5~10花が葉腋に束生する。円状卵形の包を具え、花梗の長さは6~9mmである。がくは皿状で浅く4裂し、花冠は白色、広い鐘形で長さ3mmほど、4裂する。雄花には雄ずい2個と小さい退化雌ずい1個もつ。雌花は知られていない。石果は長 楕円形で長さが約2cmである。 
4.ヒイラギモクセイ
 ヒイラギモクセイOsmanthus fortunei CARRIEREヒイラギOsmanthus heterophyllus P.S.GREENギンモクセイOsmanthus fragrans LOUREIRO var.fragransとの自然雑種で、支那で出来たものがわが国へ導入されたと思われる。英名にFortune osmanthusがあり、中国名は歯葉木犀である。
 高さ4m、直径30cmまでになる常緑小高木で、枝を多く分岐し葉を多くつける。小枝は灰白色である。葉は楕円形~広楕円形で長さ5~12cm、幅3~7cm、短い鋭尖頭、基部は鋭形で、縁に短い刺になった疎い鋸歯を両側に8~10個もつ。樹の上方につく 葉は鋸歯が少なくなり全縁に近くなる。厚い革質で、上面は深緑色で光沢があり、側脉は8~10対、両面無毛であるが小さい腺点をもつ。葉柄の長さは0.7~1cmである。
 10月開花し、芳香ある白色の花を葉腋に束生する。花梗は糸状で長5~11mm、包は卵円形である。雄株のみが知られている。がくは盃状で4裂し、花冠は径が8~10mmで4深裂する。雄ずい2個と退化雌ずい1個をもち、結実しない。植栽されているもののみ で挿木で増植される。
 材はヒイラギ同様の紋様孔材である。樹は最もふつうな生垣の樹の一つである。 平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る