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広葉樹と内装材の世界

日本人の感性が育てた ツキ板と化粧合板

日本人と木の文化
日本の文化は古く大陸から伝わっ てきたものが多く、伝来した新しい ものを咀嚼して、独自の文化へと開 花させてきた特徴があります。
その 中にあって、住まいについては、実 に独特のものを創りだして来ました。
 大陸の石を基本としたシェルター 型の住まいと違い、木組みによる住 居は歴史を重ねるにつれ改良され、 ついには千数百年の風雪にも耐えう る堅牢な大型木造建築物や、巨大な 城を建てるまでに発展してきました。
 日本人が木と共生してきたからこ そ、大陸から伝来した文化の中で家 の中でも靴を履く習慣は受け入れら れませんでした。
そこには木の文化、 素足の生活が根強く、独自の生活様 式と思考、発想の原点があり、 「侘び」「寂び」などの情緒や、花 鳥風月などの自然を愛でる心が育ま れてきました。
 健康志向、自然志向の高まりから、 健康資材としての「木」がいま再び 脚光を浴びていますが、日本人独特 の感性を生かした天然資材として、 ツキ板があります。
ツキ板って一体なに? 「ツキ板」とは聞き慣れない(読み 慣れない)言葉ですが、漢字で書けば 「突板」と書き、その字の如く鉋(カ ンナ)で突いて削り出した薄い板 (単板)のことを指し、最近ではスラ イス・ウッドとも呼ばれています。
 スライスされたツキ板は、厚みが 0.18~0.6mmのものが一般的で、0.18~ 0.3mm厚を薄物、0.4~0.9mmを中厚、 1mm以上を厚物と呼び、合板などに貼 って天然木化粧合板として、家具、内 装材、住宅機器など様々な用途に活用 されてきました。
 ツキ板の技法的な歴史は長く、古く は紀元前2600年の古代エジプト時代に まで遡ぼります。
それはエジプトのピ ラミッドの中に残されていた家具や小 物入れに用いられていたことに始まり、 バビロニア、アッシリア時代からギリ シア、ローマ時代でも王朝の高級家具、 壁面などにツキ板貼りされたものを見 ることができますし、中国でも紀元前 からツキ板貼りの工芸品が造られてき ました。
 日本でも奈良・飛鳥時代頃から工芸 品等に使用され、正倉院の宝物などに もみることができますが、現在のツキ 板が普及しはじめるのは大正時代から で本格的に表面化粧材として使われ始 めました。
自然を愛でる日本人の感性 日本人と欧米人の感覚、感性はど のように違うのでしょうか。
 本誌創刊号では巻頭に「ヒノキ (桧)」の紹介をしましたが、能楽堂 といえば舞台はいわゆる「桧舞台」 で、舞台装置は無いに等しいですが、 同時代に栄えた欧州の円形観劇場は 豪奢な造りと可動式の舞台装置があ り、文化的な差異を感じさせます。
 絵画などを観ても、全てを表現せ ず、観る人の創造力を沸き立たせる シンプルな描写の水墨画と、写実的 で配色豊かな油絵とでは根本的に違 う芸術といえます。
その根底には、 シンプルで素材感を大切にする日本 人の感覚と、全てを複合変成し、自 分たち流のスタイルに変えてゆく欧 米人の感覚との違いがあるからです。
 中でも一番大きな違いは、自然に 対する価値観、距離感でしょう。
厳 しい自然と対峙してきた西洋文明と 自然との共生に居場所を求めてきた 東洋文明の違いは明白で、自然を愛 でる感性という意味で大きな違いが 見られます。
欧米人は虫の音を細かく聞き分け ることは出来ない言われています。
これは可聴音域が違うからで、日本 語の音域は150Hz~1500Hz位、英語の 2000~10000Hzの音域と異なり、欧米 人よりかなり低い音域で会話したり、 反応したりしているます。
これが母 音言語である日本語を使う日本民族 の感性を育てる特長のひとつで、虫 の音に耳を傾け、花鳥風月を愛でる 文化が構成されてきました。
欧米ではツキ板は、数ある建築資 材の中のひとつであり、木目を読んで木取りをしたり、素材の地色を合 わせたりなどということは殆どしま せん。
 北米などで主流となっている2× 4住宅を見ても解る通り、木造住宅 で内外装に木を使っている場合でも、 木材の表面には塗料を塗り、塗装色 の色合わせでコーディネイトするの が一般的で、自然の木理や木の地肌 を活かしたような使用法は、床材や 高級家具など、生活空間の中ではご く一部に限られています。
素材の地 色を愉しむのではなく、自分たちの カラーに染めてしまうのです。
 一方、日本では床材はもちろん、 壁面、天井、外壁に至るまで木に囲 まれ、木の特性、見た目の妙や木理 などを、その永い木との共生の中か ら活かした使い方をし、天然色を生 活の中に採り入れてきました。
その 中では、銘木的な感覚に拘る木材業 界の在り方から、無節信仰など偏っ た方向性に進みはしましたが、節の ある一般材も本物の自然素材である と多くの方々から見直されはじめて います。
 欧米型、日本型のどちらが良いか は別にして、日本人の木に対するこ だわりは「侘び、寂び」いう独特の 感性や、繊細さからくるもので、日 本の「和」の文化が独特の感性で開 花したものであることがうかがわれ ます。
木に対する想いは、自然が演 出する季節の移り変わりに感情移入 したり、虫の音に心を寄せたり、自 然との対話の中で暮らしてきた日本 民族独特のものだと云えるでしょう。
日本人が込めたツキ板への想い 時は流れない。 ただ積み重なる」 という言葉がありますが、ツキ板は 将にその言葉通り、四季の風雪に耐 え、200年~500年の時間・年輪を重 ねた自然の芸術とも言うべき銘木の 木目を生かした表面化粧材です。
 一本ごと木理を考えて、原木を木 取りし、薄くスライス加工やロータ リー加工して、よく似た柄で広い空 間を演出したり、多くの製品を彩る のがツキ板です。
ムク板では、ひと つの空間を同じような意匠で揃える ことは困難ですし、また優良原木の 活用の面からも大きな問題が残りま す。
 だから本来、ツキ板には(1)高級 銘木的な価値、(2)高度利用の付加 価値、(3)意匠性の高さと芸術品的 な使用価値、という三つの価値が 付加された高付加価値材で、そこが 一般材やムク板との違いです。
 こういったツキ板の「長所」を 模倣し、安価で使えないかと工業 製品として作られたのが塩ビシート やプリント(印刷)した強化紙です。
しかし印刷モノでは絶対に真似の出 来ない最大の特長がツキ板にはある のです。
本物にしかない"ゆらぎ"の力

第一にツキ板には、一枚として同 じ柄は存在しません。
当然のことな がら原木は自然の産物なので一本た りとも同じものがありません。
人間 でもそうであるように、木にもそれ ぞれ固有の特性があり、同じ樹種で あっても育ってきた環境によって木 目木理は異なります。
だからこそ、 その原木をスライス加工して創られ るツキ板も、同柄のように連続しな がら、微妙に変化し、同じ柄のツキ 板はないのです。
 第二に、ツキ板は木材製品の中で 最も"1/fゆらぎ"の力を引き出し た製品で、印刷や人工的には決して 造ることの出来ない特長です。
 "1/fゆらぎ"は自然界と自然の 創造物の中に満ちているものです。
 "ゆらぎ"は年輪に集約されますが、 それが加工されることでツキ板の材 面に表れ、自然のリズムを表現しま す。
一本の木目の流れや、木目の間 隔の微妙なズレの中に"1/fゆらぎ" があり、それが光の反射や音の反響 にも"ゆらぎ"を生み、視覚をはじめ とする六つの感覚を通して生体リズ ム刺激を与えるといわれています。
この快感覚、体内の活性化が、癒し や活力増進の源となります。
自然が育てた木目を生かしたツキ 板だからこそ、心と体の健康を育て てくれ、人為的に模倣することが出 来ないものでもあります。
 高付加価値住宅から高気密・高断 熱住宅、そして健康住宅とハウスメ ーカーが唱えるキャッチフレーズは 時代のニーズに呼応して変化してい るようにも見えますが、本質的な意 味での健康住宅とは、健康を害さな い住宅ではなく、健康を育み、増進 してゆける住宅であるはずです。
 かつて人が動物達とそう変わらな い生活を送っていた頃は、暮らしの 中にに"1/fゆらぎ"は満ちていた はずです。
しかし、今日までは化石 燃料から造られた人工物に囲まれ、 規格化された枠の中で暮らすことが 快適だと信じられていました。
 シックハウス症候群やアトピーな どが表面化しはじめ、ようやく「何 かが違う!」と感じはじめた現在、 住まいの中に"1/fゆらぎ"を体現 するツキ板を内装材として積極的に 採り入れ、自然が造詣した木理を眺 めながら暮らしてみてはいかがでし ょうか。
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