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塗料と接着剤、そして健康

塗料にもいろいろある どう使うか

美観をよくし、木材を保護する塗料

  木造建築において塗料は重要な役割を担っています。
なにも塗られていない白木の肌は、それだ けでも十分美しく和みを与えてくれますが、その 素材の美しさを生かす塗料も数多くあります。
それでは、何故木材に塗料が必要とされるので しょうか。
その目的は大きく分けて二つあります。
ひとつはより美しく見せるためで、美観をよく することにあります。
そしてもうひとつは木を保 護することで様々な影響から木を護り、長持ちさ せるという重要な役割があります。
昔から外部用にはニカワ、柿渋、コールタール、 クレオソート油等を塗ったり、焼いて表面を炭化 させたり、内部用にはおから、米ぬか、菜種油 をすり込んで汚れ防止とつや出しをしていました。
また、高級仕上げには漆が使われるなど様々な工 夫がこらされていました。
このように木材にとって切っても切り離せない 関係にある塗料ですが、現在の健康志向、自然志 向の高まりの中で生活環境に及ぼす影響が問題に なっています。
本来、木を護り、木を生かすはず の塗料が健康に害を及ぼすのではと懸念され、大 きな波紋を呼んでいます。
そんな中で自然塗料と呼ばれるものも出てきて おり、各方面で注目を集めています。
塗料業界で もこれに対応すべく研究開発が進められ、様々な 新製品が登場してきており、その種類と数は増加 の一途をたどっています。
消費者にとって選択範囲が広いことは歓迎すべ きことですが、どれを選ぶか難しくなってくるの も事実です。
さらに健康や環境についても考慮し なければならないとなると、ますます選択の混乱 度合いは増すばかりです。
ここでは塗料をとりまく現状と問題点、健康と の関わりについて検証したいと思います。
  塗料とは油、樹脂、溶剤、顔料、乾燥剤など様 々なものから構成されています。
油を木に塗るだ けでも潤いを与え、しっとりとした艶を帯び、ま た水分の蒸発を防ぎ木そのものを保護します。
塗料とはつまるところ油に始まり、そのなかで も乾きやすい乾性油が使われます。
主なところで は亜麻仁油、桐油、荏油などがあげられます。
し かし油だけでは当然塗料にはなり得ません。
木に 塗料を塗ったとき、傷や汚れから木を守る役割を するのが塗膜です。
この塗膜をつくる働きをするものが樹脂で、塗 料の要とも言える重要な部分と言えます。
油は木 に浸透する度合いが高いので十分な塗膜を作るこ とはできません。
そのため塗料には樹脂が必要となってくるので すが、樹脂とはそもそも動物や樹木が分泌する粘 度の高い物質のことで、最近では合成樹脂が主流 となっています。
天然の樹脂には、樹木が分泌するロジン、樹木 の分泌が半化石状となったダンマルやコーパル、 昆虫が分泌したセラックなどがあります。
そしてこれら樹脂などの固形物を溶かす働きを するのが溶剤で、天然のものでは油絵にもつかわ れているテレピン油が有名で、これは松ヤニから 採取されています。
このように塗料のそれぞれの役割を担う原料に は自然のものが多く存在します。
しかし現在では その多くが化学物質にとって変わられ、主役の座 を完全に奪われた形となっています。
塗料が限られた種類の成分からなり、どんな素 材にも適応し、下塗りから上塗りまで同一塗料で 塗装仕上げが完成するならば分かり易いのですが、 様々な理由により塗料の種類は実に多くなってい ます。
●条件で変わる塗料の選択
  建築物の塗装では、塗料の選択肢はまず内装用 と外装用に分かれます。
外装用塗料は過酷な自然条件にさらされますの で塗料に求められる塗膜性能も高度な耐久性が要 求されます。
直射日光による紫外線は劣化を早め、 スモッグによる汚れや酸性雨の影響も大きく、風 は土や砂塵を塗膜に当て傷を付けるほか、木材を 乾燥させます。
他にも鳥や昆虫などのフンや分泌 物による害にも抵抗できなければなりません。
こ のように、外部塗装では美観とともに保護の役割 が最も重要視されます。
一方内部塗装では日常生活の中での耐水性、耐 熱性、耐薬品性などの性能の他、最近では健康へ の影響具合も考慮されますが、全体的に見ると美 観が優先されます。
塗装対象である木材は、国産材、輸入材、広葉樹、針葉樹、散孔材、環孔材、堅木、軟木、淡色 材、濃色材など多岐に分類されます。
材種によっ て強度や特性も異なるので、使用される用途や塗 装仕上げも変わってきます。
さらに階段や床では耐磨耗性などの強度が求め られ、壁面、天井、柱、窓、建具などには耐久性 よりも通気性や汚れ防止の他、美観が求められま す。
このように使用樹種、建築部位によっても細 かく分類されるのです。
以上が主だった選択の条件となるものですが、 当然これに施主の好みやコストの問題もからんで きますし、作業性も重要な要素と言えます。
加え て最近では防虫、防カビ、防腐といった薬剤を付 加したものも多く種類は豊富です。
適材適所に上手に塗料を選ぶことは難しく、あ る程度の経験と勉強が必要のようです。
●自然と調和する塗料の開発
  昨今の自然志向、健康志向の中で塗料を取り巻 く状況も大きく変わっています。
「健康と環境」 は現在の塗料業界にとって最大の問題とも言われ ています。
そんな中で自然塗料が注目されるのは 当然のことで、すでに各社から販売されており種 類も増えてきています。
塗料が健康と環境にどう 共生していくのか、自然塗料はひとつの鍵とも言 えます。
現在販売されている自然塗料の中には、従来塗 料の合成樹脂を植物油や天然樹脂に置きかえたり はしていますが、100%天然原料とは限りません。
自然塗料といっても溶剤には石油精製品が使われ るなど、部分的には化学物質に頼っているものも 多いことを知っておかなければなりません。
むろん、どれも従来の塗料と比べると低臭で害 の少ないものが使用されているため、格段に安全 性は高まっているのは事実です。
中には日本古来の塗料である柿渋のように安価 で手軽に扱えるものもあります。
水で薄めるだけですから、素人でも扱い易くきれいに塗れ、DI Yの材料としても便利ですが、水に流れやすいほ か、鉄や銅を酸化させるなど注意しなければなら ない点もあります。
健康と環境に優しい自然塗料にも欠点はありま す。
自然塗料は有害な乾燥剤が含まれていないた め乾燥時間が長くなります。
また塗りやすさなど も従来の塗料に比べると劣る面もあり、やはり作 業性の悪さは否めません。
また、天然素材は合成樹脂よりも弱いため も高くありません。
そのため日頃のメンテナンス が必要になってきます。
最近出回っている自然塗 料は、1年位で塗り直すべきものが多いようです が、3年位は保持するものも作られています。
も うひとつネックになっているものとして値段の高 さがあげられます。
工程がシンプルなので一概に 施工単価が高いとは言えないかもしれませんが、 やはり全体的には高いものが多いようです。


雑木を銘木にもする塗料 
  このように自然塗料にも無視できない問題がい くつかあり、一長一短と言えます。
従来塗料でも 有害物質を放出するのは施工時のみで、乾燥後は ほとんど問題ないという意見もあるなど、健康へ の影響も実際のところあいまいです。
情報が錯綜 する中で神経質になっているきらいは確かにある ようです。
完全な自然塗料には使用をためらわす問題も多 く残されています。
しかし毒性のない化学物質と 自然素材を融合させることで自然と化学、両者の 利点を生かし、また欠点を補完しあうことで高い 安全性と機能を両立させた塗料がすでに販売され ています。
最近の化学物質を全て悪とみなす風潮に疑問を 感じている人もいると聞きます。
化学的に作られ たものは、基本的には自然界とは馴染まないもの が多いのですが、化学の全てを否定せず、自然・天然との共存と調和の可能なものやその可能性を 考えていく必要もあるようです。
塗料には木をより美しく見せる力があります。
優良木が減少してきている昨今、地球環境という 観点からも、無計画に伐ることは許されません。
しかし一方では、自然志向が高まり本物の木を求 める傾向は強くなっています。
この環境問題と自 然志向のギャップを塗料でうめることも可能です。
今迄、雑木と称されていたような木でも塗料 を塗ることで銘木にできます。
捨てられていたよ うな木を塗料によって有効利用できれば、環境へ の大きな貢献となるはずです。
より安全で安心できるものをと考えて水性塗料 の開発も進んでいると聞きます。
これからの塗料 業界は塗料そのもののことだけではなく、塗る対 象と塗った後についても考えていかなければなら ないようです。
<資料引用・参考文献>
川村 二郎編著 「木造建築での木の塗装」 産調出版株式会社   
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中川木材産業の自然木フェンスを紹介したホームページです。間伐材を利用した公共用のフェンスとしては、擬木フェンスよりも安価でメンテナンスや変更が簡単であるのが特徴です。また、自然木をそのまま山中の形状に合わせて施工できるので、自然の景観に溶け込みます。ページ上にあるコンテンツはアルバムのようになっていて、実際に施工した自然木フェンスの写真がたくさん掲載されています。それぞれ、自然公園、急勾配の斜面地、転落防止柵、野外活動施設、使えないもの利用、金属支柱、丸棒加工にわかれています。このほかに、自然木フェンスに対する声や強度試験、大阪府からいただいた評価が紹介されています。 ホームページは 自然木フェンス です。
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