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再び日本の林業と木材を考える

村おこし、地域づくり、

地場産業を担う林業と木材を第一次産業を衰退させた戦後
山村振興の全てを林業に託 することはできませんが、林 業の復興がその大きな役割を 担っていることは間違いあり ません。
戦後の高度成長とともに衰 退させられてきたのが林業や 農業、水産業を中心とする第 一次産業(直接自然に働きか ける産業)です。
商工業と科 学技術の発展がもてはやされ、 産業構造がどんどん変わる陰 で、優遇措置がとられている ようでありながら、第一次産 業は人手不足や採算難、大型 化、機械化の波に襲われ、衰 退への道を歩まされました。
この第一次産業こそが国民 生活を支える土台であり、地 場産業の根幹をなすものです が、この第一次産業が衰退・ 荒廃すれば、国民生活が維持 できなくなるはずです。
とこ ろが、それを国民に感じさせ ないで遂行するためにとられ た政策が、輸入依存化と産業 構造改変による大企業育成策 でした。
食糧全体の輸入率が60% 以上で穀物では70%を超え ています。
胃袋が穀物メジャ ーに基本的に支配されいる国 は日本をおいては見当たらな いほどこれは凄まじい数字で、 食糧自給率が70%を下回っ た国々は、国全体が飢餓から 餓死へ向かっていることは、 世界の国々を見れば一目瞭然 です。
日本はそれをはるかに 下回っているということは、 大変なことなのですが、これほどまでに自国の第一次産業 をダメにしながら、豊かさを 享受しているということは、 異常としか言いようがありま せん。
エネルギー自給率に及んで は、僅か、3%程度という驚 くべき低さですが、木材もま た20%以下の自給率です。
年間約1億千万立方mのパル プ用等を含むすべての需要量 の内、約9千万立方m近くは 輸入材で、その大半はアメリ カ材です。
外国の資源を荒ら しているとの批判もあります が、特にアメリカとの関係は 貿易収支の関係で、日本から の大量の輸出の見返りとして 木材を買わされ、それがアメ リカの経済とメジャーの利益 を支える条件とされているの です。
アメリカ最大の木材企業が 日本へ来た時、木材はバイオ の技術もあって数10年で太 くなるアメリカの材を買って 日本の山は観光用でいいでは ないかと言ったことがありま すが、アメリカの利益のため に輸入材を増やし、日本の林 業を衰退させてきた事実を知 っておくことが必要です。
第一次産業がことごとく衰 退し、荒廃してきたのは、い ずれもこのような輸出入との 関係があるのですが、産地国 の資源問題から見ても、日本 の産業の復興の必要性から見 ても、このような輸入依存の 仕組みを、根本から見直すべ きときに来ているのです。

山村・林業復興の柱は木の家づくり

日本の木を使うというのは、 単純なナショナリズムからで はなく、民族的自立の前提条 件である自給自足と貿易の相 互互恵の考えからしても必要 であり、日本経済再建の土台 づくりからしても必要なこと です。
では、日本の木を使うため にはどうすればよいのかが問 題になります。
現状を見れば、大手ハウス メーカーや建材メーカーの使 用する木材のほとんどが輸入 材です。
メーカーの直輸入も 多いのですが、木材業を経由 する木材も、そのほとんどが 輸入材です。
ハウスメーカー に家づくりを依存している限 り、日本の木を使うようにな らないのは明らかです。
木材は、あらゆるシーンに 使われますが、その主流とな るのはやはり家づくりです。
新設住宅着工の大部分をハ ウスメーカーが占めていると 思われがちですが、実際は平 成11年の累計で、総数百21 万五千戸の内、木造住宅が56 万6千戸(46.6%)です。
こ の木造住宅の中での2×4住 宅が7万6千戸、プレハブ住 宅が18万6千戸で、在来軸 組住宅が30万4千戸となっ ています。
在来軸組の中にはハウスメ ーカー住宅も含まれています が、総数の4分の1が在来軸 組工法ですから、決して少な くはないのです。
またこれだ けの需要があったということ ですし、この需要はまだ伸び る可能性をいっぱい持ってい ます。
これを、いかに地場の家づ くりとして定着させるかが、 日本の木を使った家づくりを 推進するカギとなっているの です。
それこそが、日本の林 業を復興する最良の道である ことを共通の認識に広げるこ とが大切です。
山村の振興と林業の復興は、 税制措置を含む行政の財政的 援助、政策的支援が必要なこ とは言うまでもありませんが、 それを待ってすすむものでは ありませんし、10年、20年 後という悠長に構えているわ けにはいきません。
環境問題 が危機的状況にあることや、 山村の荒廃、人工林の伐期な どを考えれば、早急な対応が 必要となっています。
その 対応の最も有効で、即効性の あるものが地場に根づいた家 づくりです。
近隣の杉や檜を中心とする 木を使った家づくりを、日本 の家づくりの中心に据えるこ とこそが、山村と林業を活性 化する道であり、それが、日 本らしい木の文化を復興させ る道となるものです。
杉材を生かした家づくりに ついては前号(第10号)でも 触れていますが、本号でも埼 玉・さきおう住宅研究社や福岡 ・アサヒ工務店による杉角 材を1000~1500本を使った 家づくりなども大いに学べる ものと言えるでしょう。

木のネットワーク化で林業と結ぶ家づくり
 
本誌第10号の読み人の交 流の場の「これは大変だ!」 で静岡住研の青山光成さんも 触れられているように、ハウ スメーカーが育成されて、国 中に同じような家を売りまく る国というのは日本にだけ見 られる風景です。
西洋ではビ ルダーと呼ばれますが、地域 の中小ビルダーが、その地域 の気候風土と風俗に合った家 づくりをしています。
日本もかつてはそうでした。
メーカーと言われる存在が出 てきたのは、戦後の昭和30 年代からですし、企業的な工 務店が組織されたのも主に戦 後です。
それまでは、棟梁を 中心にした大工さんが各地に いて、家づくりを担っていま した。
その大工さんが木材業 を兼ねているか、木材屋さん と連携している場合が主でし た。
しかも、かつては、木材流 通もそれほど発達していなか ったこともあり、ほとんどの 地場の木材が使われていまし たので、林業と結びついた家 づくりが定着していたのです。
今は、流通が発達し、市売り もすすんでいますので、単純 に地元材ということにはなら ない面もありますが、産地の 市場であれば、その地の材が 主力になっていますから、市 場の活用方法を考えることも 大切になっています。
しかし、それ以上に求めら れているのが、山元から始ま る家づくりのネットワーク化 です。
本誌でも紹介した第3 号の大阪・KJ・WORKS、 第5号の三河・森援舎・杉生 グループ、第7号の千葉・さ んむフォレスト、千葉・山武 ・杉の木ネット、第9号の埼 玉住まいの会、第10号の高 知・ドライウッド土佐会、そ して本号の岡山・住まいの会 などはその代表例とも言える ものですし、各地で規模の大 小を問わず、こんな動きが広 がっています。
山元から始まる木のネット ワーク化による家づくりがす すんでいる理由は、第1に、 地元の木材を使うことで、地 域の気候風土に最も耐えられ る家がつくれ、材料への親近 感が生まれることにもなりま す。
第2に、流通と価格の不透 明さを解消できて、安心して 必要な材を手当てし、木材を たくさん使った健康的な家づ くりができることです。
第3に、地元の林業を勇気 づけ活性化することにつなげ られることです。
同時に、木 のネットワーク化をすること で、施主や一般の人たちが山 へ行き、木と接したり、選ん だりすることで、みずから家 づくりに参加するワークショ ップ型の家づくりがはじまっ ていることにあります。
木材業界こそが木材の供給責任
使用する木材を地元材でと いうのは、その地の気候風土 に最も適しているからで、木 材だけでなく、食べ物につい ても、水についても同じこと が言えるのは昔から知られて いることです。
しかし、日本が木の国だと 言っても、近くに出材できる 山がなかったり、入手できな い材もあるわけですから、こ うでなければならないと決め つけるのではなく、主体は地 元の材、地元になければ近隣 から、近隣になければ良く似 た気候の地から、と範囲を広 げても良いでしょう。
もう少 し範囲を広げれば裏日本と表 日本とで考えてもいいでしょ うし、更に広げれば国産材と 考えてもいいと思います。
ま た外国産材でも、日本の木と 大差のないものもありますか ら、多少は大目に見てもいい のではないでしょうか。
ただ、これは、使用する材 の選定についてのみのことで すから、地元の材を使うこと の利点は先にあげた通り、親 近感や安心と信頼を呼び、林 業と地場産業の振興につなが り、住む人が山から家づくり までの行動と仕事に参画する ことにつながることにあるの ですから、地元の木をこれか らの家づくりの中心に据える ことが大切になっています。
家づくりのための木のネッ トワーク化をこれからもっと 広げ、大きくすることがいよ いよ大切になっているのです が、このところのネットワー ク化の動きを見ていると、共 通しているのは、その主体が 建築家である場合が多いこと です。
木の家づくりを建築家が真 剣に考えていけば、おのずか ら材料の手当てが問題になっ てきますから、建築家の能動 的な活動としてのネットワー クづくりは高く評価されなけ ればなりませんし、その活動 への協力を広げなければなり ません。
ここで、協力すべき は誰かを考えると、それは木 材業者であるはずです。
木材業者というのは、本来 は木材のプロであるはずです し、木材を供給する立場にい るのですから、本当は当然の 仕事のはずだからです。
とこ ろが悲しいことに、その目は、 目先しか見ていないことが多 く、家づくりを視野に入れて おらず、さらには21世紀の 本流としての木の家づくりの 担い手になるという役割の自 覚や気概に乏しいと言わざる を得ません。
木の家づくりを広げ、林業 を復興させるキーポイントは、 木材業界の自覚です。
木材業 界が、家づくりに必要な材料 を、地元材を中心に取り揃え、 建築家や工務店と連携して、 求められる材を適材適所、適 正価格で提供する仕組みをつ くることが何よりも大切です し、急を要しているのです。
その際、同時に考えるべき ことは、乾燥問題と同時に、 現在の流通向け・ハウスメー カー向けを意識した製材を、 地場の家づくりに見合った製 材加工へと視点を移し、建築 家や工務店とともに考えて対 応することです。
そして、建築家から急かさ れて考えるのではなく、広く 建築家に呼びかけ、木の家づ くりの輪を広げることです。
こうしてネットワークが作ら れていってこそ、多くの生活 者が求める木の家づくりが現 実のものとして広がっていけ るのです。
一日も早く、木材業者と建 築に携わっている人々や、生 活者が、日本の林業の復興、 自然らしい自然の育成を考え ながら、木の家づくりの輪に 参加するよう、意識を持った 人たちからの行動を期待して 止みません。
朝日ウッドテックの会長である海堀常夫さんが撮影した巨樹を紹介するホームページです。海堀会長が写真家の吉田繁さんが主催した英国巨樹旅行に参加されたときに撮影されたものをはじめとし、東北の巨樹、世界最大の巨樹、世界最長の巨樹などが紹介されています。立派な巨樹の写真はどれもこれも迫力があり、美しいです。英国にあるシェイクスピアの「ハムレット」もととなった事件と関わりがあるとされる樹齢1000年のイチイの木やギネスブックに「世界最大の木」と登録されているメキシコのオアハカ州トゥーレ村のヌマスギ(別名ラクショウ)などがあります。最高樹齢を記録しているブリッスルコーン・パイン物語の話も掲載されています。 このwebへのリンクは 英国の巨樹 です。
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