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エコロジー住宅の奨め

自然の摂理に従い自然エネルギーを活用する

 

秋田県立大学木材高度加工研究所
  教授 鈴木 有


木造住宅のエコロジー化のために大切な家づくりの要点、エコロジー化の勘所です。
伝統民家は自然の摂理に従い、自然界の物理法則に巧みに則っ て、住まいの空間を形づくり、太陽や風の力、微生物の働き、時 にはマイナスイメージの雪までも採り込んで、自然の持つエネル ギーを活用して、暮らしの場を創ってきました。
この伝統民家の 智恵に学ぶなら、機械や装置による強制的な環境調整は必要最小 限にして、自然の摂理に素直に従い、自然エネルギーを積極的に 活用して、化石資源のエネルギー消費から脱却する家づくりと暮 らし方を目指すべき、と考えます。
ここでは、私が3年前に、琵琶湖のほとり・郷里の近江八幡で 旧屋を増改築したときに、わが家で様々に試みた例を中心に解説 しましょう。
自然の光と風、空気の流れと循環を充分に生かす
その土地の気候・風土をよく知って、光や風を室内に賢く取り 入れる。
自然の摂理に従って、空気の流れや循環を上手く活用す る。
その上で、季節に応じた室内の環境制御が行える間取りや構造 を工夫すること、が基本です。
わが家でも、居室は南北にも東西にも風が通るように開口部を 可能な限り2方向の両側に設けるように空間計画を考えました。
【写真1】これまで夏の西日を嫌って塞いでいた改築部分の西面 にも窓を取り、通風を図りつつ冬の陽射しを採り入れられるよう にしました。
夏の西日は窓前に吊した大きな葭簀(ヨシズ)で遮 ります。
【写真2】 また、2階西側の廊下の1部を広く取り、 その西面にあえて、部分的に大きな開口を設けて、冬の陽光を採 り入れる物干し場兼サンルームとしてしつらえました。
【写真1】>
写真1 増築部分2階西側の廊下。
南北の通風を図るため、北面に小 開口を 並べて設ける。
左はべんがら格子付きの外壁窓。
右は書斎と接する小窓。
夏場は この小窓のガラスを抜いて、通風 用に開放。
階段手摺の手前側が 幅1間半の物干場兼サンルーム。
左手西面に、主に冬の採光・採暖 用に、腰上に2段窓を設ける。

写真2 改築部分 の西面。
通風と採光を考え て、1、2階共に新 たに窓を設けた。
夏季には窓前に 琵琶湖産の葭 簀(ヨシズ)を吊し、 西日を遮る。
自然エネルギーを生かして、化石エネルギーの使用を抑える
家庭でも、太陽の熱や光、風の力、天からの恵みの雨水、微生 物の浄化力や雪の冷却力など、自然エネルギーを活用して、化石 資源の消費を出来るだけ抑えなければならない時代になりました。
そのために必要な技術や設備も、行政の支援制度も整い始めています。
●太陽熱による給湯
 わが家ではまず、市販品中で最も高能率の円筒型真空管式の太 陽熱温水器を屋根上に設けて、温水を得る仕掛けを組み込みました。
【写真3】 屋根上の貯水量は240㍑。
やや高圧下で受熱するので、湯温は 夏場には120℃にも昇り、日中繰り返し使えば、初夏から初秋 の間の好天日なら、家中の給湯はこれのみで充分に賄われます。
この方式の装置で寒冷地対応仕様のものを使うと、外気温数度 の冬場でも、日射があれば湯温は30℃以上にも達します。

写真3 濾過した雨水を 暖める大屋根上の円筒 型真空管式の太陽熱 温水器。
貯水量は240㍑。
夏季に は沸点に達し、冬季でも 晴天時には30℃以上の お湯に。
●太陽光による発電
 
また、技術とコストが日進月歩の太陽光住宅発電の設備を、適 当な時期に屋根上に設けたいと考えてきました。
昨年、日本でも 後半期には話題になった「コンピュータの2000年問題」で、 年末年始には電力系のライフラインにも一時期停止や混乱が生じ るかも知れない、との予測があったのを覚えておられる方も多い でしょう。
実は、この事態に備えるために、昨年末5.4KWの 多結晶シリコン系方式の発電モジュールを2階大屋根の西面に搭 載しました。
【写真4】
写真4 主屋2階大屋根の西面に搭載された多結晶シリコン系方式の太陽光 発電モジュール。
最大発電能力5.4KW。
屋根勾配が低く、屋根と装置が近い色合いのため、あまり目立たない。
本稿執筆中の丁度いま、日差しの強烈な真夏になりましたが、 わが家の電力使用量を未設置だった昨夏に比べると、買電量は半 分以下になり、逆に売電量は買電量を上回っています。
現在の太陽光住宅発電の電力会社への売買電の仕組みは、自家 発電中の電力をまずは自家でそのまま使用し、余剰電力のみを買 電するようになっています。
これによりわが家では、夏季の常時 使用電力量を上回る発電量が得られていることになります。
この装置の設置には、通産省の補助金制度「住宅用太陽光発電 導入基盤整備事業」の適用を受けて、総工事費の3分の1に近い 助成を得ました。
それでも単純計算で、自己投資コストの回収に は15年以上、全額を考えれば25年ほど掛かることになります。
しかし、温暖化を始めとする地球規模の環境問題改善への一歩と 考えれば、グローバルな環境悪化後の改善のための投資より、今 直ぐの投資の方が遙かに少なくて済むはず、次代に回すその「ツ ケ」を抑制する効果ある手だてになります。

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