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木を生かす木を育てる

ユニークな木構造施設


木を生かす木を育てるユニークな木構造施設の構造見学会「雲雀が丘学園・日本文化館」の構造を見る


●日本の文化を学ぶ木構造施設 国産の杉・桧を主材料に、木尾図伝統架構と軸組工法によりながら、ユニークさを見事に加えた木構造施設がつくられ、その構造見学会と説明会が昨年12月9日に兵庫県宝塚市で行われた。
阪急電車、雲雀が丘花屋敷駅裏の雲雀が丘学園の一角に骨組を見せて「日本文化館」研修所が建っていた。
雲雀が丘学園が創立50周年記念事業の一環として、園内に木構造の研修所をつくり、研修会を持ち、伝統的な建築物を学び、卒業生の集いの場にもしたいとの意向によるものであった。
意匠設計・監理を㈱C・E・M椎原総合設計の椎原毅さんが担当し、構造の設計監理は、本誌に「木造住宅の構造を考える」を連載中の田原建築設計事務所の田原賢さんと村田幸子さんが担当している。
又、施工は㈱日新工営で現場主任は田中敏也さん。
そして大工棟梁は天野次雄さんである。
椎原さんは、意匠設計について「学園の意向に添うように、ここで日本の文化を学び、育てることを願い、伝統的手法を随所に取り入れて、生きた教材の中で集えるものをと考えた。
恣意的設計を排除した素直なものを考え、構造面ではデザイン的なものも取り入れた」と製作意図を語っている。
この建築にふさわしい材を探し求めた結果、高知県の土佐町・森昭木材㈱が地元の杉・桧の乾燥材を提供してくれるということで話し合いがまとまり、高知の現地に天野棟梁と職人さんたちが泊り込んで、墨付け、削り込みのすべてを行ったという。
この高知での作業と建築現場を見ての田原さんの感想は「日本の大工のレベルはすごく高い。
21世紀の木構造は無限の可能性を持っていると思った」という。
木造2階建て、延べ床面積約81坪(1階72.25坪、2階8.68坪)のこの施設は、玄関から入ったすぐのホールに、直径45㎝の桧丸太4本の大黒柱があり、その上部の約4×5m四方の吹き抜けには〝清水の舞台〟を彷彿させるような立体格子状にくまれた貫構造の「伝統架構ゾーン」がある。
その隣には約11m四方に無柱空間が広がる「現在軸組架構ゾーン」があり、この2つがつながってひとつの施設が構成されている。
(図1) 一見何の変哲もない構造体のようでありながら構造的な面白さは何ヶ所か目につく。
〝清水の舞台〟的な構造の仕掛けをはじめ、長期荷重・水平荷重に対するユニークな力学的工夫が凝らされている。

立体格子を下から見上げる
●〝清水の舞台〟を支える 立体貫構造伝統的な木造建築物の小屋裏は、よく地松の大きな丸太を軒桁間に架け渡して、小屋組を構成してある。
スパンをとばす為や、重い瓦等の屋根荷重を支持するためで、昔の自然の豊かさを反映して使用されている地松の梁の大きさには、目をみはるものが多い。
(図2) しかし、ここでは棟木・母屋(102×150)から吊ってある120角の小屋束に最高八段の貫(60×120)を通した、立体貫構造で屋根荷重を支えている。
通常の丸太梁形式であれば、スパンが約5mなので末口400㎜以上必要になってくるであろうが、あえてこの建物では小径木を用いて小屋組を構成している。
下から見上げるとジャングルジムを逆さにしたような木の格子が不思議な造形に見えるが、これが本物の〝清水の舞台〟を支える斜面の土を取り除いた感じで、それが小屋梁となり屋根荷重を支える構造である。
(写真1/図3)
これは、小さな材の組み合わせで大きな荷重に耐える合成梁の典型例かもしれない。
ここまでくると構造の門外漢では書き切れないので、田原さんによる「伝統架構ゾーン」についての荷重に対するコメントを紹介しよう。
長期荷重に対して… 「玄関ホール吹き抜け上部に"清水の舞台"と同様の立体格子を構成しているが、階段をのぼるに従いひな壇状に減少していき、元端では六段以上の接点が構成されている。

構造モデルで説明すると『先端ピン・元端固定』と云う状態に近い。
その上部にあたる屋根は、本瓦葺(葺き土無)で積載荷重とあわせると平方m当たり180㎏にもなる。
貫構造でこの重い屋根荷重を支持することが可能か、東京大学稲山博士論文『めり込み理論』を参考に、貫+クサビの通し貫接合部分の回転剛性を求めて、桁行き方向の各平面フレームにて応力解析を行った。
その結果、曲げ・せん断・めり込み等の各応力度は十分安全であり、スパン中央部のたわみも約0.7㎝という計算であった。
また、施工時においては施工荷重が平方m当たり250㎏という状態であったが棟木のレベルで糸を張って計測した結果、1.0㎜のたわみも見受けられず、貫とクサビの接点は完全に密着していた。
つまり、各格子から端部の壁の管柱に鉛直荷重が流れて更に大黒柱に力が伝達されている。
水平荷重に対して…(壁量を満足するとともに、許容応力度計算でCo=0.35程度を確保) 「2階の部屋の水平力は、2階外壁に伝達されて更に1階大屋根の水平構面に伝達され、大屋根の水平構面の合成を高めるため、小屋裏内には3角形のリブ状の耐力壁が立ち上がって、更に1階耐力壁に伝達されるシステムとなっている。
中規模地震では構造用合板による耐力壁にてせん断抵抗するが、壁が降伏するような大きな地震では終局的に、立体格子も吹き抜け4隅の大黒柱に力を伝達できる構造となっている。
大黒柱の柱脚部には30㎜角のDボルトがあり、柱1本辺り終局時では水平力約1tに対する抵抗力を保有し、合計4本の丸太柱と階段横の面格子耐力壁とあわせて約5t程度を負担する」 また、この立体格子の束と貫は木童の木原氏が、岩手県で共同開発した「南部赤松」を使用しており、含水率がコントロールされた乾燥材であったが、無節・生節のみで材をそろえることが難しく、抜節・死節含む材を使用することとなったらしい。
この架構は沢山の接点を設けることにより力を分散させるので、逆に欠点をもった材でも有効利用することが出来たという。

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