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巻頭言

日本の木の素晴らしさを探る

 

年をとるにつれ、だんだん1年の早さを感ずるのは、生きた年数を分母にして1年を意識するからだそうですが、それにしても早いものでもう年末です。21世紀最初の年は、まだ1ヶ月残されてはいますが、いろんなことが詰め込まれていながら、瞬時のような1年でした。この1年の出来事と変化は、昭和の時代の10年、その昔の100年に匹敵するような内容を持っているのも、年月の早さを感ずる理由でもあるようです。何年、何十年に1度しか起らないようなことがこの1年間に起きています。実現不可能と思われていた小泉内閣の誕生、株価の下落と金融不安、合併や倒産、テロ事件から戦争へ・・・。これらは20世紀の悪足掻きと矛盾の集中的表出として捉えることができます。時間軸では20世紀はもう過去ですが、現実にはまだ20世紀を引きずったままの21世紀です。21世紀の新しい変化が台頭しはじめているのに対し、何としても旧体制を維持し、延命するための諸方策がますます事態を混乱させています。政治も経済も、すべてが国民の利益に背きながら20世紀を延長させようとしているのですが、そこにはいくつものカモフラージュがあって本質が見えにくくさせられていることを見なければなりません。しかし、今の政治には、20世紀が極限まで膨らませた諸矛盾を根本から打開して未来を拓くという意志も能力もありません。その下で、経済がドロ沼へ沈みかけているのを食い止めるために足掻きもだえ、それでも行き詰まると最後の手段で賭けたのが戦争です。この戦争には倒す目標が明確にされてはいないのです。20世紀と資本主義の危機を切り抜け、延命させようとすることに意味があるのですから、早期に終結させられない内実があるのです。今は、支配者たちの表面的言動にまどわされて右往左往すべき時ではありません。21世紀をどうしようとしているかが問われているのです。

日々頭を悩ます様々な矛盾や世の中の矛盾のすべて、環境や日本の山の問題、住まいの問題もすべてが20世紀的処方箋の下で膨らんできた矛盾だらけです。世の中がまだ20世紀を引きずっているからこそ、21世紀の視点が大切になるのです。そのひとつとして、20世紀が踏みにじったり封殺したものの再生や復権が大きな意味を持つようになってきています。それが例えば、日本の文化であり民族性です。家づくりの関係で言うならば、日本らしい木の家ですし、日本の木です。戦後50有余年、西洋文明の支配下でつくられた矛盾は、日本らしさをもってしか解決することができないのです。

近代的、先進的、科学的なものでなければならないと思わされたものが、実は西洋文明観、洋風文化の礼讃、資本主義の推進でしかなかったのです。視点を変え、意識を変えなければ明日を拓くことができないのです。そこで今号は、日本の木から稿を起こしました。国産材の時代を必然にしなければ日本の文化も山の再生もすすまないからですし、その歴史の背景を見抜くこともできないからです。今号の中では、日本の木の中でも杉に特別の想いを込めて編集しました。特集の中での田原賢さんの「杉の可能性」をはじめ、家づくりでも「木を生かす・・・」の中でも杉を取り上げました。和の文化の復興のひとつのカギが杉を生かすことにあるからです。また、木の家づくりへの想いの寄稿文も前号に引き続いて特集とし、学び合いたいと思います。緊急特集も、日本らしさがいかに大切かを考える緊急な問題として取り入れました21世紀への視点のひとつに、見えない世界に目を向けることがあります。ミクロの世界にこそ21世紀を切り拓く素晴らしい力があるのですが、そのひとつとしてマイナスイオンの異色企業を取り上げました。今号もたくさんの寄稿と取り上げるべきものが多く、予定を一部変更したことをご了承下さい。これから年末年始です。力を合わせてよい年を迎えられるようにと願っています。

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