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よくある質問

Q合板、集成材などに使われている接着剤の人体 への影響について、知りたいのですが。

A.  現代ほど健康について関心が高くなっている時代はないでしょう。環境の悪化が著しい都市生活では、自然生物である人間への悪影響は避けられないのも当然です。毎日のストレス、複雑化する食生活など、その要件は数限りなくありますが、ここ数年、話題を集めているのが、シックハウス症候群でした。室内の色々な部所から発生し、思わぬ健康障害を引き起こす恐れのある室内空気汚染の問題はマスコミなどにも大きく取り上げられていることはご承知の通りです。
 厚生省でも平成8年にこの問題を検討するため健康住宅関連基準策定専門部会・化学物質小委員会を設けて検討を進めているほか、同省を含め通産省、建設省、林野庁などと合同で健康住宅研究会も設立され、「健康住宅」に関する研究が進められてきました。その結果、「設計・施工ガイドライン」、「ユーザーマニュアル」などが設定され、有害物質とされるホルムアルデヒドの室内濃度の指針値などを公表しています。
 私達の暮らしのなかで接する化学物質は70000種類にものぼるとされています。シックハウス症候群が起こる要因は第一に、住宅の工業化による接着剤、塗料、可塑剤によるもの、第二に高気密化・高断熱化と裏腹な、カビ問題を防ぐために使用する防カビ剤。洋風化にともなうカーペットに派生する防ダニ剤。木材強度のために使用する保存・シロアリ駆除剤などがあり、さらにこれらの化学物質が複合して健康に影響を与えるケースもあります。
 こうした要因のなかでも実際に住宅に入居する一般消費者が、施工の段階から対策をとりにくいものは、住宅資材のなかに含まれる化学物質が引き起こす問題であり、消費者の関心が高いのも当然です。室内空気を汚染する化学物質にはホルムアルデヒド、トルエン、キシレンといった、いわゆるVOC(揮発性有機化合物)などがあげられます。とくにそのなかでも、合板、パーティクルボード、集成材、化粧合板、床材などに使用されている接着剤に含まれるホルムアルデヒドは、一定濃度を超えると目や鼻やのどを刺激したり、せき込んだりすることで知られています。ホルムアルデヒドは、無色で強い刺激臭のある物質で、自然界のなかにも存在するのですが、蓄積されれば人体に有害であることは世界各地の研究の結果が明らかにされています。
 例えば1996年に名古屋で開かれた国産室内空気質会議では、オーストラリアのギャレット博士から、この濃度が高くなるに従い、喘息にかかる子供の割合が増えていくという調査結果が明らかにされています。とくに40ppmを超える家庭では、43%もの子供が喘息と診断され、さらにアトピー症状も出ていることが報告されています。またWHO(世界保健機構)の欧州地域専門家委員会の健康影響評価によれば、ラット実験で鼻腔ガンが発生することを知見しているほか、高濃度のホルムアルデヒドによる職業的暴露と鼻腔ガンとの間に関連性を示す疫学的知見があるとして、「ヒトに対して恐らく発ガン性がある」と指摘しています。もっとも、こうした評価では個体差があることを明確にしているほか、「低濃度かつ細胞毒性の起こらない濃度」であれば、発ガンリスクは無視できるとしています。つまり、低濃度であれば問題は薄いということですが、ホルムアルデヒドは0.5ppm(0.63mg/㍑)で明らかにヒトが臭気を感じるわけですから、換気や通風などで住環境を改善する努力は必要です。
 当面の目安として前述の健康住宅研究会では欧米の基準並に「三十分平均値で0.1mg/㍑以下」という指針を明らかにしています。また資材を提供する側でも、すでにJAS(日本農林規格)のなかで、合板、フローリングなどのホルムアルデヒドの放散量、放出量の基準として、F1(平均値0.5mg以下/㍑)、F2(同5.0mg以下/㍑)、F3(同10mg以下/㍑)の基準を設けています。さらにJIS(日本工業規格)では関係するパーティクルボード、繊維板の基準としてE0からE2までの三タイプを設定し、材料選択の目安を提供しています。
 建材メーカーや接着剤メーカーでは健康志向が時代の趨勢であることを十分認識して、製品のノンホル化を急速に進めています。ただ、ホルムアルデヒド等だけがなくなれば健康資材といえるのかどうか、まだまだ化学物資は未解明のものを含め生活空間には多く存在するわけですから、不断の注意は必要でしょう。
 なお、これらの物質のほか、呼吸の時に発生する二酸化炭素、人やペットの体臭などが滞留すると、健康を害し不快感をもよおす事になりますから、換気や通風などで住環境を改善する努力は必要です。

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