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住宅の研究に生物学的発想が欲しい

インテリア業界への提言

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インテリア計画と湯の花論

 以前に私は 「インテリア湯の花論」という雑文を書いたことがある。その趣旨は次のようなものであった。私はお風呂が好きだから「○○の湯」 というような入浴剤を買って来て、家庭温泉だと思って楽しんでいた。友人の薬学の専門家にその話をしたら笑われた。 彼の説明は以下のようである。「温泉には普通の水の十倍くらいの不純物が含まれている。 それが健康に効くのだが、不純物には溶けるものと溶けないものとがあって、溶けないカスが湯の花だ。温泉で溶けないカスがお前の家のお風呂で溶けるわけがないではないか」というのである。「ただしカスの間には何ほどかの可溶物が含まれているから、まあ効果は二割か三割くらいかな」 というのである。

そこで気がついた。インテリアがブームになって、その設計図が高く売られているが、よく考えてみると、図面はたしかに奇麗だが、その中には青も光も熟も空気も考慮されていない。形と色に上記のような環境要素が加わって初めてインテリア計画といえるのではないか。そうだとすれば効果は湯の花と同じではないか。以上が拙文の趣旨だが、

それはインテリアをけなすものとして非難を受けた。 だが私は今でも正論だと思っている。  考えてみると設計図というのは、形や色ばかりでなく、音・光・熱・空気といった目に見えない環境要素はもちろんのこと、安全性や構造、強度、施工のしやすさや人間工学、さらに将来の建て替えやリフォームしたときの廃棄物処理のしやすさまでチェックされた知恵の結晶というべきものであろう。それなのに従来は、目に見える表面的な形の美しさと、色彩の華やかさだけが内容といった設計図が通用していた。今でも住宅産業はファッション産業だと公言する人もいるが、そういう甘い考え方が今回の健康住宅問題の騒ぎの原因になって、大きなツケを負うことになったのである。

インテリア計画の今後の課題の中で、当面取りあげなくてはならない重要な課題の一つは、建て替えやリフォームの時に出る廃棄物処理の問題であろう。これは今まで全く考慮の外にあった課題であった。残念ながら私のこの方面についての知識は乏しいが、参考までに気のついたことの二、三を書いてみよう。

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