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実ならぬ木には神ぞ憑く
み ならぬ きには かみ つく
実のならない木には神がのりうつって専有する。

大伴安麻呂が巨勢郎女に通った時の歌の一節で、実ならぬというのは、花ばかり咲いて実がならぬ、すなわち、男を持たない女の意味にいったことば。
巨勢郎女の辺歌では、これを、うわべだけじょうずを言って、実は真心がない男の態度に言いなしているが、当時のことわざに、実のならぬ木は神の所有に帰するということがあって、それを踏まえての贈答であると思われる。
     
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