木でものを縛るといっても、見たことのない人には想像できないだろうが、
木を細かくねじり割ると柔らかくなり驚くばかりの強さを発揮する。
この木のロ-プ、稔(ねじ)を紹介しよう。
稔の歴史ほ定かではないが、筏を組むとき絶対必要であり、筏の発明のときか、
それ以前につくり始めたと思われる。専門の職人を稔切り職人とよび、かれら
は小さな鋸と山包丁を腰に稔になる枝のついている桧の木に登る(相当太い檜にしか
稔はつかない)。ひと抱えもある桧に軽子も使わずに登る(これを「木をたぐる」という)
ため、かれらほ身軽でなけれは務まらない。夏季の稔は檜の枝でなければなら
ない。
切り取った桧の枝は稔台に差し込み、末(先端)から右回しにする。ねじ方には
粗稔と小稔があり、六分くらいまでは粗稔しながら小稔をかけ、四分くらいから
は粗稔で稔台から外して足で踏み、こんどほ本(根元)から小稔をかける。
ねじ方にもコツがあり、だれでもできる仕事でほない。
ねじ終わると皮をはぎ小枝を切って後、まっ白くなるまで日に干す。それを
70~80本にまとめて一束にするのがふつうである。いったん乾いた稔を水に
ふやかすと強さは倍増する。
 夏の稔は簡単に皮がはげるが、秋になると包丁で削りとらなけれはならない。
また材質的には冬になると雑木稔に変わる。雑木稔としてもっともよく用いるのが
ちしゃ。ほかに楢、欅(けやき)、榊(さかき)などがある。