157.クスノキ


解説

クスノキ(樟、楠)
クスノキ科ニッケイ属。常緑高木。一般的にクスノキに使われる「楠」という字は本来、中国のタブノキを指す字である。台湾、中国、ベトナムといった暖地に生息し、それらの地域から日本に入り、本州西部の太平洋側、四国、九州に広く見られるが、特に九州に多く、生息域は内陸部にまで広がっている。幹周囲10メートル以上の巨樹になるのも珍しくなく、単木ではこんもりとした横広がりで、丸みのある樹形となる。木肌は綿密で、耐湿・耐久性に優れている。葉はつやがあり、革質で、先の尖った楕円形で長さ5-10センチである。4月末から5月上旬にかけて落葉し、5-6月にかけて、白く淡い黄緑色の小さな花が咲き、10-11月から直径7-8mm程度の青緑色で球形の果実が紫黒色に熟する。各部全体から樟脳の香りがする。樟脳とはすなわちクスノキの枝葉を蒸留して得られる無色透明の固体のことで、防虫剤や医薬品等に使用される。また、防虫効果があり、巨材が得られるという長所から家具や飛鳥時代の仏像にも使われ、古来から船の材料としても重宝されており、古代の西日本では丸木舟の 材料として使われ、大阪湾沿岸からは、クスノキの大木を数本分連結し、舷側板を取り付けた古墳時代の舟が何艘も出土している。その様は、古事記の「仁徳記」に登場するクスノキ製の快速船「枯野」の逸話からもうかがうことができる。室町から江戸時代にかけて、軍船の材料にもなっている。近年では、クスノキの葉は厚みがあり、葉をつける密度が非常に高いため、交通騒音低減のために街路樹として活用されることも多い。

木材は散孔材で心材は黄褐色、紅褐色、肌目はやや粗く、木理は交走することが多く、玉杢などが現れるものがある。 材はやや軽軟から中庸、  耐朽性が高い。 建築では内装材、また社寺建築、建具、家具、器具、 楽器、彫刻、木象嵌その他に用いられる。
葉や幹、根などを蒸し、出て来る蒸気を冷やし(蒸留)、 固形にしたものは防虫剤やセルロイド、フィルムなどの材料になり、東南アジアでは古くからつくられていたが、日本では、意外にも歴史は浅く、江戸時代半ばからつくり始められ、明治時代  には最盛期となり、何と合成樟脳やプラスチックが出廻った戦後にはもう衰退の道をたどり始めた。
しかし、セルロイドがもてはやされていた明治から昭和のはじめ頃には、何と世界一の生産量となったことも  あったほどで、その頃の日本の発展に樟脳、しいてはクスノキが重要な役割を果たしたといえる。
鹿児島県の「蒲生のクス」は有名で、目通り周囲  約24m高さ30m。推定樹令850年。このようにクスノキは、成長がさかんで、 さらにさらに長命なので、古くから神社や寺院に植えられ、巨樹、名木に なっている。
クスの花 クスの花 クスの花
上3枚 通勤途中 2013年5月8日撮影
クスノキの実
新芽
写真
通勤途中4月12日撮影
樹形
クスノキ樹形
大阪市立大学付属植物園 2013年8月11日撮影
表皮
写真写真
外部リンク南方熊楠と南紀の鎮守の森(イオングループ)