160.アスナロ


解説

あすなろ(アスヒ・ヒバ・アテ・ヒノキアス ナロ・ アスダロ・アテビ)「翌檜」

ヒノキ科アスナロ属。常緑高木。高さ20-30m・直径60-80cm。ときに樹高40m。直径100cmに及ぶものもある。樹幹は通直。本州・四国・九州に分布し、関東北部・東北北部・木曽に多い。能登地方は人工造林、東北北部は天然林で有名である。日本特産で、青森県以南の各地に自生する。木曽のアスナロ(アスヒ)は、木曽五木(ヒノキ、サワラ、ネズコ、マキ、アスナロ)として尾張藩に保護され、享保2年(1920年)に禁伐とされて国有林に引き継がれてきている。地方によってはアスヒ・アテともよばれる。有名な青森ヒバは、このアスナロの変種ヒノキアスナロである。うろこ状の葉はヒノキに似ているが、ヒノキよりも大きくて荒く、葉裏が白いので区別がつく。木曽地方ではヒノキ林にしばしばアスナロの幼樹が入り込み、放置しておくとてヒノキ林はアスナロ林にとって代わられるともいわれている。乾燥地を好むヒノキに比べ、湿潤な土地に適するといわれる。心材は暗黄色、辺材は淡黄色で、特有の香気がある。樹形は広円錐形になる。主幹は直上し、側枝は太く水平に伸び、小枝は平面的で羽状になる。鱗葉はヒノキに比べて厚く大きく、濃緑色で光沢がある。葉の裏面は白色の気孔線がある。心材と辺材の色の差はあまりなく、木材は淡黄色で、早材から晩材への移行は緩やかであり、そのため、年輪はとくにはっきりとしているとはいえない。木材はやや軽軟で、気乾比重は0.37~0.52。この木材には強烈な特徴的な匂い(多分芳香とはいえない)がある。また、心材部分の保存性が高く、よく水湿に耐える。抗菌性のあるヒノキチオールを含む(ヒノキにはない。タイヒで発見された)。木部から採れる油の中性部分を香料として、石鹸とかトイレタリーに用い、酸性部分からは抗薗性薬品がつくられた。材は建築・土木・橋梁・家具・器具・漆器木地(輪島塗)に使われ、古い時代には樹皮は火縄として活躍し、水もれをふさぐ素材としても重要であった。また、和名のアスナロは、明日桧と書くように〝明日ヒノキになろう〟の意味と言われ、いつまで経ってもヒノキになれない樹と言われているが、古代語の中にはアテヒとして出て、高貴なヒノキという意味で用いられている。
アスナロの名で俳句や短歌でもよく唄われるし、井上靖の名作「あすなろ物語」は有名である。


木目
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写真
樹形
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三重県伊賀市 天照寺のアスナロ 2007年7月23日撮影

大阪府 花の文化園 2008年8月27日撮影

上3枚 大阪市立大学附属植物園 2003年7月22日撮影

アスナロの葉の裏
大阪府服部緑地 都市緑化植物園  2014年5月11日  
 北海道大学植物園 2014年9月14日撮影
樹皮
大阪府 花の文化園 2008年8月27日撮影