327.ナンテン 


解説
メギ科ナンテン属。常緑低木。樹高は2m内外であるが、3mになるものもある。関東南部地方以西、四国、九州などの暖地の、日当りのよい山地に自生する。中国から渡来し、庭園に植えられていたものが、野生化したものと考えられる。
ナンテンは、中国名を南天燭(燭とは実が赤くなること)とか南天竹(葉が竹の葉に似ているから)といい、この音読みから名づけられたといわれている。
また、名前が「難を転ずる」に通じ、門口や玄関廻りに植栽されたのは邪気を払うためで、手水鉢や便所近くに植栽したのは不浄を清める意味であったと思われる。耐陰性もあるので、家の陰になる北側の庭にもよく使われている。
根ぎわから細い幹が数本直立し、上の方ではよく枝分かれする。枝の上部には、葉が落ちて枯れた葉柄が残っていることがある。葉は大形で、数回羽状複葉である。茎の頂に集まって開き、長い柄があって互生する。小葉は、表面はなめらかで、葉質は革質、皮針形で先はとがり、全縁である。葉柄の基部は暗赤色となっていることが多く、鞘になって茎を抱いている。6月ころ、茎の先に大きな円錐花序をつけ、多数の小さな白い6弁花を開く。秋から冬にかけて、多くの球形の果実が赤く熟す。時に白色の果実をつけるものがあり、これをシロナンテンと呼んでいる。果実には種子が2個入っており、アルカロイドのドメスチンが含まれ、これはせき止めの作用がある。生薬の南天実には、白実(淡黄色か淡灰褐色)のものと、赤実(赤褐色)のものとがあるが、どちらも薬効は変わらない。かぜなどのせき止めに、南天実1日量10~15gを、コップ3杯の水で半量になるまで煎じ、食間3回に分けて飲むとよい。子どもの百日咳には、1日量3~5gを同じように煎じ、砂糖、蜂蜜、水あめなどで甘味をつけて飲みやすくするとよい。また、南天葉は浴湯剤として、湿疹、かぶれによいという。
昔から赤飯の上にナンテンの葉をのせる風習がある。これはナンテンの葉にはナンジニンという成分が含まれており、これを熱い赤飯の上にのせて、すぐ重箱のふたをすると、熱と水分で、解毒作用のあるチアン水素がごく微量ながら発生する。これによって赤飯の腐敗が予防できるからといわれている。(チアン水素は猛毒とされているが、ナンテンに含まれているのはごく微量のため危険ではない)
ナンテンの増やし方はたやすく、1月に採集した果実を紙袋に入れて保存しておき、3月ころに、果実をつぶして中から種子を出す。種子をよく水洗いしてから、箱や鉢などにまく。挿し木でふやすには、3月中~下旬ころ、枝先を10~20cmほど切り取り、土に半分ほどさし込む。寒さの強い所では、枝の先端が地面すれすれになるくらいに、深くさすとよい。5月上旬ころには発根する。いずれも夏は日よけ、冬は霜よけを行い、翌年の3~4月に定植する。実生のものは、果実をつけるまでに3~4年かかる。開花期が6~7月の梅雨どきにあたるので、花粉が湿って交配しにくく、結実が悪くなることが多い。そこで、開花期にビニール袋を花基にかけて雨をさける、冬に葉を全部切り取り、生長をおさえると、実のつきがよくなる。
心辺相の区別なく、材は黄色。材質は緻密で堅硬。比較的強い材である。銘木としては、皮肌を生かして床柱、壁止めなどに使用される。
病害ではモザイク病、茎枯れ病、紅斑病。虫害ではカイガラムシ類、ハマキムシによる被害がある。

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写真 ナンテンの花 ナンテンの花
上2枚 通勤途中 2013年6月27日
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2000年5月13日 日本万国博覧会記念協会日本庭園で撮影
樹形
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