0543.ドイツトウヒ

解説

マツ科トウヒ属 Picea abies
別名、オウシュウトウヒ(欧州唐檜)、ヨーロッパトウヒ(ヨーロッパ唐檜)、ドイツマツ。英名は Norway spruce。
英名はNorway Spruceであり、直訳するとノルウエースブルース、あるいはノルウエートウヒとなる。日本に明治中期に導入された時以後ドイツトウヒと呼ばれ、現在でもこの名前が使われている。
ヨーロッパ原産の常緑針葉高木で、ヨーロッパからシベリアにかけて広く分布、低地から森林限界付近まで生育している。植林も昔から広くされており、ドイツの黒い森(シュバルツバルト)は有名。スイスでも広く植林されておりどこにでもある。スイスでは、低地から海抜1700m前後の森林限界付近まで分布している。また、スウェーデンなどのスカンジナビア半島、オーストリアなどにおける主要な林業樹種である。有用樹であるので広く植栽されており、園芸品種も多い。高さ50mにも至る高木であり、直径も2mに達することがある。10mを超える高さになると、小枝が下側に垂れ下がるようになり、独特の外観となる。
木材利用としての伐採は植林された人工林で行われており、環境問題リスクは少ない。ただフィンランドの一部ではユネスコの「生物圏保護区」に指定されている地域もある。また、ラトビアなどバルト海諸国などでは違法伐採の可能性が指摘されている。レッドリスクでは「低リスク(LR/LC)」と指定されて、絶滅危惧リスクはまずない。http://www.redlist.jpn.org/redlist7979-5626.html
ドイツトウヒは円錐形の樹形でよくまとまっっている。クリスマスツリーとしてもモミの木などとともに人気があるが、ツリーとしての本物はこの木とされている。
モミの木にそっくりなので、一見してもモミの木と区別がつかないが、長さが10cmを超える長い球果とやや固めで細い葉で区別が出来る。また根の構造が異なります。モミの木の根は深根性なので移植が難しく、ドイツトウヒの根は浅根性なので、まだ移植がしやすい木になります。
また日本のトウヒに似ているが、造園木やクリスマスツリーとしては、ドイツトウヒの方が利用されている。寒冷地においても重要な樹木であるが、暖地でも生育でき、洋風庭園に向くところから最近ではよく見ることができます。庭の主木、あるいはシンボルツリーとして前庭に植えることが多い。
クリスマスツリーは中世以前から、北ヨーロッパでは冬に落葉している木でなく、青々と緑をつけている、ドイツトウヒやモミを森から伐り出し、枝に造花やお菓子、小物、リンゴなどを飾りつけていた。これは土着の農耕儀礼の一つで、収穫の感謝と翌年の豊穣を願うもので、キリスト教の中に取り込まれクリスマスツリーとして広まったものと言われている。
公園樹、庭園樹、生垣として樹形は緑葉がよく繁る、成長が早く大木になるため、十分なスペースをもって植なければならい。樹冠が密なため、防風林や防雪林として多用されているが、根が浅いので注意が必要。 生育は容易だが、酸性雨や排気ガスには弱く、公害の深刻な地域では枯死することがある。
雌雄同株、樹皮は褐色でが、老木になると灰色になり、鱗片状に剥がれ落ちる。花期は5月頃。葉は長さ2cmで細くてとがる、断面はひし形、白い気孔列が見える。葉の寿命は長く長寿命で簡単には落ちない。葉が長くついているということは夏の日照時間が短いことに対する適応と考えられている。気温が上昇した直後から十分な光合成ができるからである。葉量が多いので、この樹木の森林は暗くなる。
球果(写真参照)は世界のトウヒ属の中でもっとも大きく、長さ10~20cm、径3~4cm。当年の10月頃に褐色に熟す。ヨーロッパの柱時計の錘はこの球果がモデルとされている。
下枝もなかなか枯れないので、雪崩の防止能力は高く、防風林としても利用される。成長が早く、そのため苗木は安価で流通している。
寒冷への耐性もあり、土壌も選ばない。防風林などにも適しているが、根張りが強くない為に強風で倒れてしまうことがある。また庭木としては大きくなりすぎる為に不向きである。
鉢植えで育てる場合は、日当たりの良い室外で育てます。クリスマス前後の数日間は室内に置いてもかまいませんが、暖房のきいた部屋などで乾燥させないように注意が必要。その後、また、外に戻します。寒さや積雪にはかなり強いものがある。水やりは鉢土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。真夏の日などに水切れを起こしてしまうと枯れてしまいます。病害虫は少ない方ですが、葉ふるい病などの発生を見ることがあります。虫害としてはカミキリムシ類、ツガカレハによる被害があります。
材は、全体的に白色~淡い黄白色を帯びており、辺心材の境目ははっきりしていない。
木理はほぼ通直、肌目も緻密で光沢を持つ。やや軽軟で加工性がよく、乾燥による収縮も小さい上、狂いも少ないが、耐朽性は悪く、腐りやすいので通気性には十分な配慮が必要。そのために集成材の原料として使われることが多い。
木材用途としてはスプルース類の代替材として利用され、北海道を中心に輸入されている。建築材、器具、土木、パルプ用包装用、ヴァイオリンやギターの表板やピアノの響板などの楽器用に使われる。
2008年、スウェーデン・ウーメオ (Umea) 大学レイフ・クルマン (Leif Kullman) 教授らのチームが、同国ダラルナ (Dalarna) 地方で発見されたオウシュウトウヒの樹齢(正確には根の部分の年齢)を約9,550年とする報告を発表した。これは現在確認されている中では世界最長の樹齢である。(この項目ウィキペディアより)

ヨーロッパトウヒ
大阪市大植物園 2000年4月9日撮影
ヨーロッパトウヒオウシュウトウヒ
上2枚 北海道大学植物園 2014年9月14日撮影
ヨーロッパトウヒ
大阪市立大学付属植物園 2015年5月3日撮影
樹形

ヨーロッパトウヒ

ヨーロッパトウヒ ドイツトウヒ樹形

上2枚 北海道大学植物園 2014年9月14日撮影

表皮、幹
ヨーロッパトウヒ樹皮
 北海道大学植物園 2014年9月14日撮影
球果

写真

 

大阪市大植物園 2000年4月9日撮影
ドイツトウヒの松ぼっくり
神戸市立森林植物園 2016年5月22日撮影
ヨーロッパトウヒの年輪