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平井信二先生の樹木、木材研究

パラゴムノキ属の樹木(その1)
1.パラゴムノキ属属
 パラゴムノキHeveaトウダイグサEuphorbiaceaeに属し、南米北部に12ないし17種が分布しているが、重要なのはパラゴムノキHevea brasiliensis MUELLER- ARG.1種のみで、これは現在世界中の熱帯で広く栽培されている。英名はrubberwood、中国名は橡膠樹という。
 落葉または常緑高木で低木の種類もある。内樹皮に乳液(ラテックス)を豊富にもつ。樹幹はふつう円柱状で、板根はないか、ときに出る。葉は互生するが、枝端では対生に近くなる。小葉は3、ときに5個からなる状複葉で、長い葉柄をもち、その頂端 に腺体をつける。小葉は全縁、羽状脉で、小葉柄をもつ。
 単性花で、雌雄同株、または同一花序に雌・雄花がつく。多数の集散花序が総状に複成した復合円錐花序になって腋生し、各集散花序の中央に雌花があり、他は雄花である。雄花のはくは5浅裂または5深裂し、花弁を欠く。花盤は分裂して5個の腺体と なるか。または浅裂あるいは分裂しない。雄ずいは5~10個あって、花糸部分は合着して1個の超出した柱状体になり、葯は斉または不斉の1~2輪になってつく。雌花は雄花よりやや大きく、がくと花盤は雄花と同様、雌ずいは1個で、子房はふつう3室、と きに1~6室、各室に胚珠1個を含む。通常花柱部分はない。柱頭は粗大である、果実は大きいさく(蒴)果で、通常3個の分果片からなり、外果皮には肉質に近く、内果皮は骨質である。各分果片に種子1個があり、長楕円形などで斑紋がある。子葉は幅広 く扁平で、内胚乳は豊富である。地上発芽をする。
 材の組織、性質と材その他の利用についてはパラキゴムノキの項に代表して記載する。
2.パラゴムノキの分布と名称
 パラゴムノキ(ゴムノキ、ヘベアゴムノキ、ブラジルゴムノキHevea brasiliensis MUELLER-ARG.(異名Siphonia brasiliensis WILLDENOW ex A.JUSSIEU)は、ブラジル、ギニア、ベネスエラ、コロンビア、ペルー、ボリビアにわたるアマゾン河、オリノコ河流域に自生原産し、また熱帯各地の大規模なプランテーションで植栽されている。
 英名はPara rubber tree、rubberwood、Bragilian rubber tree、South American rubber tree、cautchous tree、hevea、独名はKautschukpflanze、Parakautschukbaum、仏名はcautchouc、cautchous de Para、cautchoutier du Bresil、ブラジルでseringueira、seringa、seringueira amarella、seringueia、barringuda、seringueira branca、hevea、cau shu、ガイアナでhatti、sibi、スリナムでmapakapa、rappa rappa、seue joeballi、仏領ギニアでmessigne、ペルーでseringa、shiringa、capi、conori、jeva、ボリビアでsiringa、ビルマでkyetpaung、タイでyang phara、katok、中国で橡膠樹、巴西橡膠、橡皮樹、三葉橡膠、ベトナムでcao siu、カンボジアでkausuu、ラオスでjaang、マレーでkayu getah、pokok getah、pokok getah Rara,ブルネイでkayu getah、pakok getah Para、インドネシアでkayu karet、kayu getah、pokok getah Para、pohon getahなどという。
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3.パラゴムノキの形態
 きわめて短期間の落葉、または部分的な落葉、ときにほとんど常緑性を示す中ないし大高木で、高さは40mまであるが、植栽林では通常25mまで、直径50cmmまでである。樹幹はふつう通直で、枝下は10mまたは以上のものがある。板根は出ない。樹皮は灰 色から淡褐色で濃淡の斑紋がある。ほぼ平滑で環状の横線が現れ、内樹皮に豊富な乳液(ラテックス)をもち、切りつけをすると多量に流出する。葉は3出複葉で、小葉は楕円形、倒卵形など、長さ4~50cm、幅1.5~15cm、鋭尖頭または短鋭尖頭、基部は 楔形を示す。革質で、全縁、両面無毛、側脉は10~16対あり、網脉は明瞭である。小葉柄の長さは1~2cm、総葉柄の長さは15cmまであり、頂端に2、ときに3~4個の腺体をつける。若葉は淡紅紫色を呈し、また落葉前に橙黄色となる。
 円錐花序は腋生し、長さ16cmまで、花序軸に細軟毛を被る。各花序分枝の先端に雌花はつき他は雄花である。雄花は鐘形で、がくは5裂片をもち淡黄色を呈し、裂片は卵状皮針形で長さ約2mm、花弁を欠く。雄ずい10個は花糸部分が合着した雄ずい筒の上 下2輪に配列し、葯は2室で縦裂する。雌花のがくは雄花と同様で、子房上位、3室からなり、花柱部分はなく、先端は3個の白色の柱頭となる。さく(蒴)果は大きく、概形は扁球形で径3~5cm、3縦溝を示す3個の分果片からなり、淡褐色を呈する。外果皮 は薄く、網状の脉紋があり、内果皮は厚く骨質である。熱すると音をたてて6片に炸裂して種子をはじき飛ばす。種子は卵形で長さ1.5~3.5cm、多数の小さい暗褐色点と不規則な形の斑紋がある。有毒である。  
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