v2.3

平井信二先生の樹木、木材研究

カキバチシャノキ属の樹木
27.7.Cordia abyssinica R.BROWNの概要
 Cordia abyssinica R.BROWN(異名Cordia holstii GURKE)はアフリカ東部・中部に分布する。英名をAfrican cordia、large-leaved cordia、ケニアでmukumari、muringa、samut、南アフリカでgrootblaarpieringbessieなどという。
 高さ4~15m、ときに24mまで、直径60cmまでになる高木または低木で、樹幹はふつう屈曲している。樹皮は淡褐色から暗褐色を呈し、初め平滑で後に割れ目が入り繊維質である。若枝には長毛が散生する。葉は卵形から円形に近く、長さ7.5~17.5cm、幅 4~10cm、ときに長さ30cm、幅25cmまでとなり、鋭頭、基部は円形ときに左右不同の心形を示す。薄い革質で、全縁であるがときに基部で浅く裂片化するものがある。上面はざらつき、下面に細綿毛を布き、網脉が明瞭である。葉柄は細長で長さ2.5~7.5cm あり散生毛をつける。
 頂生の集散花序は密な頭状で、葉より短い。花は径が25mmまでで、白色で装飾的、甘い匂いがする。がくは筒状で長さ8mm、強い隆条があり、短い裂片をつけ、外面に褐色の綿毛を布く。花冠は漏斗形で、長さはがくの3倍ほどあり、波状縁の短い裂片5 個をもつ。雄ずいは花冠内にあり、葯は黒色で、花柱は挺出する。石果は卵形などで径は0.8~1.3cm、黄色から熟して橙色となり、果肉(中果皮)は粘液質で甘い。基部に短い宿存のがくをつける。  
28.Cordia abyssinica R.BROWNの材の組織、性質と利用
 散孔材。心材は淡紅褐色などで暗色の縞が出る。木理は通直または交走し、肌目は中位である。
 道管は単独およびやや不規則であるがおもに放射方向に2~3個が接続し、分布数は10~11/mm2である。道管の径は0.04~0.32mmを示す。せん孔板は水平に 近く、単せん孔をもつ。チロースが存在する。
 材の基礎組織を形成するのは真正木繊維または繊維状仮道管で、径は0.01~0.02mm、壁厚は0.003~0.004mmである。
 軸方向柔組織では、単独で道管随伴型になって現れるものはほとんどなく、帯状柔組織が道管を包含し、また量が多いので基礎組織様 となり、その輪廓はきわめて不規則である。放射方向に1~20細胞層となる。柔細胞の径は0.01~0.05mm、壁厚は0.001~0.002mmである。柔細胞内に内容物は少ない。
 放射組織は4~6細胞幅、50細胞高までまたは以上となる。その構成は異性である。鞘細 胞はあるが、各放射組織の外側を完全に包んでいない。軸方向両端のおもに1層の単列部と鞘細胞は直立細胞、方形細胞または丈が高く放射方向の長さが短い大型の平伏細胞の層からなり、他は通常の小型の平状細胞の層からなる。細胞内に樹脂様物質が あり、また菱形などの結晶が含まれる。
 材の気乾比重に0.38~0.50の記載がある。製材、乾燥、切削加工は容易で、仕上げ面も良好である。釘打ち、塗装などにもあまり困難はない。屋内使用ではかなり耐朽性があり、白蟻にもあまり食害されないとさ れている。
 材は建築内装、家具、器具その他の用途があり、とくに縞が出る装飾的な材面のものは家具、キャビネットに好適である。樹はコーヒーの庇陰樹に植栽される。  
29.Cordia africana LAMARCK
 Cordia afrikana LAMARCKは熱帯アフリカに広く分布し、サバンナに生ずる。ナイジェリアでalilliba、lilibani、alubaという。
 小高木であるが、ときに低木様となる。葉は広卵形などで、基部は心形を呈する。側脉は葉身の基部に近いものほど長く走り顕著、下面は有 毛である。花の径は約25mmで、がくに強い隆条があり、花冠は紙のようにちぢれている。  
30.Cordia aurantiaca BAKER
 Cordia aurantiaca BAKERはナイジェリアからカメルーン、赤道ギニアのビオコ島に至るギニア湾沿岸地域の森林に生じ、ナイジェリアでurighonという。
 小高木で、葉は楕円形または長卵形、下面は無毛である。葉身基部から出る側脉は上方のものと同様で、とくに長くも ないし顕著でもない。がくに強い隆条がある。  
31.Cordia caffra SONDER
 Cordia caffra SONDERはローデシア、モザンビーク南部、南アフリカ東部沿海地域に生じ、南アフリカでseptee、septeeboomという。
 高さ7mときに13mまでになる低木ないし小高木で、樹はしばしば傾斜する。樹皮は灰白色から淡褐色を呈する。葉は卵形、狭卵形で 、長さ5~10cm、通常5~7cm、幅2.5~4cm、鋭尖頭、基部は円形から方形に近い。縁に不規則で疎または密な鋸歯をもち、初め黄色の細軟毛を密布するが、成葉はほとんど無毛となる。葉柄の長さは5cmまでで、きわめて細い。
 頂生の集散花序に多数 の花を頭状につける。花は鐘形で径は約10mm、白色を呈し甘い匂いをもつ。石果は球形で径は約2cmまで、黄色から熟して橙色となり、果肉(中果反)は肉質で、短い皿状の宿存のがくの上にのる。材は軟いが靭性があり、柵柱に良いとされる。  
32.Cordia crenata DELILE
 Cordia crenata DELILE(異名Cordia chisimajensis CHIOVENDA)はアフリカ東北部産で、ケニアでebitiothinという。
 高さ6mまでのブッシュ状の小高木で、小枝は細く若いときに多少細軟毛をもつ。葉は互生し、倒卵状楔形で長さ2.5~6.3cm、幅0.8~3.1cm、鈍頭または先端が不明瞭な嘴状に突出する。紙 質で、疎らに鈍鋸歯があるか上半部が全縁または全体がほとんど全縁である。側脉は約5対あって下面で顕著である。葉は初めうすく細軟毛または小粒状物を布くが、後平滑となる。葉柄の長さは0.8cmである。
 集散花序に少数または多数の花がつく。がくは筒状鐘形で長さ5mm、うすく細軟毛があるかまたは無毛、花冠に5裂片があり、裂片は倒卵形で、白色を呈する。石果は卵形で長さ1.3cm、がくは宿存して肥大し革質となり鋸歯がある。  
33.Cordia goetjii GURKE
 Cordia goetjii GURKEはアフリカ東部でローデシアに至る地域のサバンナに生じ、英名をbluebark cordia、ケニアでsiegeという。
 高さ7mまでの低木から小高木で、樹幹形は不整、断面は方形で角に隆条がある。樹皮は初め灰緑色、灰青色などを呈し平滑であるが、次いで灰白色になってプレート状の裂片で剥げ、灰紫色のパッチを残す。葉は互生 し、楕円形などで形に変化があり、通常長さ7cm、幅2cmまでであるが、大きいものは長さ15cm、幅5cmまであり、鈍頭または鋭頭で鈍端、基部は楔形を示す。薄質で、全縁、疎らに有毛かまたは無毛である。葉柄の長さは3cmまでである。
 頂生または葉に対生する小枝に頂生して、ほぼ頭状に少数花が集まる集散花序を出し、その幅は3~6cmである。花は4数性で白色から黄白色を呈する。がくは筒状で3~4歯があり、外面は有毛である。花冠筒部の長さは4mm、4個の裂片は楕円形で鈍頭で ある。雄ずいの花糸は短く、子房は小さくて円錐形を示す。石果は先端が尖ったドングリ状で長さ4cmほど、下部の約1/3は宿存した皿状のがくで包まれる。  
34.Cordia grandicalyx OBERMEYER
 Cordia grandicalyx OBERMEYERはローデシア、南アフリカ産で、英名をround-leaved cordiaという。
 高さ5mまでの低木ないし小高木で、樹皮は暗灰褐色を呈し、割れ目がある。葉は広卵形からほとんど円形で長さ16cmまで、幅11cmまであるが、通常は長さ9cmほどである。鈍頭で先端は短く突出する。おおよそ全縁ないしホタテ貝殻状の 牙歯または不明瞭な鋸歯があり、両面ともざらつく。葉柄の長さは2.5cmまでである。
 若い葉に対生する側生の小枝に集散花序を頂生し、少数の花が疎らないし密接して頭状に集合する。花の径は約15mmで、初め黄白色であるがきわめ速く黄色に変わる 。甘い匂いがあり、大きくて著しいがくをもつ。石果は広卵形で径は2.5~3cm、先端は鋭く尖る。大きく肥大してフリルがあり、ときに反捲する宿存がく裂片の上にのる。  
35.Cordia milleni BAKER
 Cordia milleni BAKERは熱帯アフリカの森林に広く分布し、英名をcordia、ナイジェリアでomo、egin ogume、ケニアでmungomaなどという。
 高さ30mまたは以上になる高木で、樹幹は太くて短く、あまり通直でない。樹皮は淡褐色などを呈し繊維質、平滑またはやや粗で小さい鱗片になって剥げる。葉は互生し、やや倒卵状で円形に近く、長さ9~15cm、幅 6~11.5cmであるが、ときに長さ30cm、幅23cmまでのものがあり、通常円頭、基部は円形ないし、少し心形を示す。全縁または鈍鋸歯があり、側脉は5~8対で、ほとんど直行して縁まで達し、ときに短い剛毛になって縁から突出する。最下の側脉は下方の 縁に向かって更に2次側脉を出す。上面はざらつき、下面に淡褐色の細綿毛を布く。葉柄の長さは4~7.5cm、ときに15cmまであり、太く有毛である。
 腋生の円錐花序の長さは15~20cmある。花は長さ12mmほどで、白色を呈する。がくは有毛、花冠はがく より長く、雄ずいは花冠から超出する。石果は卵形で長さ2.5~4.5cm、宿存して肥大した皿形のがくの上にのる。
 辺材は白色、心材は黄色、淡褐色、黄褐色を呈し、材の気乾比重に0.45の記載がある。乾燥と切削加工などは容易で仕上げ面は良好である。かなり軽軟であるが、屋内使用では比較的耐朽性がある。家具やキャビネットに適するとされている。  
36.Cordia ovalis R.BROWN ex A.DE CANDOLLE
 Cordia ovalis R.BROWN ex A.DE CANDOLLEはアフリカ東部のケニアからモザンビーク、ローデシア、ボツワナ、南アフリカにわたって分布する。英名をsandpaper cordia、sandpaper tree、shot berry、ケニアでmuthee、ithi、mukuo、南アフリカでsnootbessieなどという。
 高さ4~7mの低木から小高木で、樹皮は灰色を呈し、平滑ときにフレーク状になって剥げる。葉は通常やや対生に近く、卵形ないしほとんど円形で長さ5~8cm、幅4~6cm、円頭、基部は円形を示す。革質で、全縁ないし僅かにホタテ貝殻状の牙歯があ る。上面は著しくざらつき、下面に黄色から銹色の細軟毛を布く。葉柄の長さは1~2cmで、銹色の毛がある。
 花序は頂生で密に束出する。花は淡黄色で芳香をもつ。がくは筒状で、不規則な牙歯があり、外面に細軟毛を布く。花冠の径は約10mm、筒部の 長さは約5mm、裂片は4~5個あって、倒卵形、長さ約5mmで開出する。雄ずいは花冠の喉部につき無毛である。子房は卵形で、花柱の第1次分岐はほとんど基部までに達する。石果は卵形で長さ2cmまで、鋭尖頭、熟して黄色から橙紅色を呈し、下部1/3は宿 存する歯縁で皿状のがくの上にのる。中果皮(果肉)はゼリー状で、中に種子1個を包む内果皮(核)がある。  
37.Cordia pilosissima BAKER
 Cordia pilosissima BAKERはアフリカ中部、南部産で、南はローデシア、ボツワナまでに分布する。英名をwoolly cordiaという。
 高さ3~5mのブッシュ状の低木であるが、ときに高さ10mまでの小高木となる。樹皮は灰色で粗く、若枝には長軟毛を布く。葉は卵形からほとんど円形で長さ8~16cm、幅7~16cm、円頭、基部は円形であるがまた裂片化するものがある。全縁または不 明瞭なホタテ貝殻状の牙歯があり、上面は僅かにざらつき、両面とも軟毛を密布する。網脉は下面できわめて顕著である。葉柄の長さは3cmまである。
 密な頭状の集散花序を出す。花は径15mmまでで、白色から淡黄色を呈する。がくと花柄に黄色毛を密 布し、成熟したがくには著しい隆条がある。石果は卵形で長さ2.5cmまで、先瑞は鋭く尖り、熟して橙黄色を呈する。肉質の中果皮(果肉)があり、宿存して大きく肥大し、縁にフリルがある反捲したがくの上にのる。  
38.Cordia platythyrsa BAKER
 Cordia platythyrsa BAKERはシェラレオネからカメルーンに至る熱帯西アフリカの森林に生じ、英名はcordia、ナイジェリアでomo、omo weweという。
 高さ30m、直径1mまでになる高木で、通常樹幹は短く、枝を広く開張する。樹皮は灰色から淡褐色を呈し、平滑または細小な鱗片化する。小枝には細軟毛を布く。葉は広楕円形などで長さ10~15cm、幅5~13cm、短鋭尖頭、基部はほぼ円形を 呈する。縁に僅かに不規則な鋸歯があり、側脉は直行して葉縁に達し、ときに縁外に出て短い剛毛となる。下方の主な側脉は長く伸び、外方に向かって二次側脉を出す。三次脉は著しく平行して目立つ。葉柄の長さは5~10cmでやや細い。
 円錐花序は疎 らで開出し、白色の花をつける。花の長さは約12mmで、がくに隆条はない。石果は長さが約1.2cmで、宿存した径約6mmの皿形のがくの上にのる。
 辺材は薄褐色、心材は紅褐色を呈する。材の気乾比重は0.40~0.70で、中位ないしやや軽軟である。屋 内使用では耐朽性があるとされる。  
39.Cordia senegalensis JUSSIEU
 Cordia senegalensis JUSSIEUはセネガルからナイジェリアを経てルワンダに至る熱帯アフリカの森林に生ずる高木である。葉はやや小さく、上下両面とも無毛で、上面に光沢がある。花は白色を呈し、がくに隆条をもたない。  
40.Cordia somaliensis BAKER
 Cordia somaliensis BAKERはアフリカ東北部の海岸に生じ、ケニアでmchimba casa、pumbaji、mbwaleという。
 高さ4.5mまでの低木ないし小高木で、しばしば匍匐性の開出した枝を出してブッシュとなる。小枝には白色の細軟毛を布く。葉は互生し、倒皮針状長楕円形で長さ6.3cm、幅2.5cmまで、鈍頭、基部は楔形を示す。全縁ま たはとくに先端近くで不明僚な鈍鋸歯がある。上面に僅かに剛毛と細軟毛を生じ、下面には細軟毛を密布する。葉柄の長さは0.6cmほどである。
 集散花序が密に複成した花序を頂生し、花序軸は有毛である。花は白色で芳香がある。がくの長さが6mmで、 不同長の歯をもち、外面に軟毛を布く。花冠の筒部の長さは6mm、裂片の長さは4mmで鈍頭である。雄ずいは花冠の喉部につき、花糸は無毛、子房は卵形である。石果は橙色を呈し食べられる。  
平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る