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平井信二先生の樹木、木材研究

コバノブラッシノキ属の樹木
35.イトバブラッシノキ
 イトバブラッシノキ Melaleuca armillaris J.E.SMITH はオーストラリアのビクトリア東北端、ニューサウスウェールズ東部、クイーンズランド東部の海岸地域に生ずる。英名を bracelet honey myrtle,giant honey myrtle,prickly-leaved tea tree という。
 高さ2~14mの常緑の低木ないし高木である。樹皮は硬く緻密で、裂片状になって剥がれることはない。葉は互生して束出し、狭い線形で長さ1.2~2.5cm、幅0.1~0.3cm、先端は尖って反捲し、やや薄質である。花は円筒状で長さ6~7cm、幅2.5cmのい わゆる穂状花序をなしてつく。花糸は白色から黄白色、まれに淡紫色を呈する。さく(蒴)果はほとんど球形で径は約0.5cm、密集してつく。
 材は重硬で、耐朽性がある。低木性のものは地表近くから密に分枝し、乾燥地域の防風植栽に適している。  
36.Melaleuca cheelii C.T.WHITE
 Melaleuca cheelii C.T.WHITE はオーストラリアのニューサウスウェールズ、クイーンズランドに生ずる常緑高木である。  
37.Melaleuca erubescens OTTO
 Melaleuca erubescens OTTO はオーストラリアのニューサウスウェールズ、クイーンズランドの東部やや内陸の開放林に生ずる。英名を pink honey myrtle,rosy paperbark という。高さ1.8~3mの常緑低木で、多幹でときにブッシュ状となる。樹皮はコルク質が著しい。葉は互生して密につき、ほとんど糸状に近い円柱状で、長さ0.8~1.3cm、先端は反捲し、鈍緑色で、暗色の腺点をもつ。
 新しいシュートのずっと下方に花 が密につき、長さ2~4cm、幅1.5cmほどのいわゆる穂状花序をなす。花糸は淡紅色から淡紅紫色で、雄ずい束の柄部は幅が広く、先端に向って短い花糸がわかれて出て羽毛状となる。さく(蒴)果は径0.3cmで密集してつく。  
38.Melaleuca grovena CHEEL et C.T.WHITE
Melaleuca grovena CHEEL et C.T.WHITE はオーストラリアのニューサウスウェールズ東北部、クイーンズランド東南部に生じ、英名を rare paperbark という。常緑木本で、Melaleuca deanei F.MUELLER に似るが、葉は長く1.3~2.5cmあり、さく(蒴)果はやや短い。  
39.コバノブラッシノキ
 コバノブラッシノキオトギリソウバノハナマキMelaleuca hypericifolia J.E.SMITH はオーストラリアのニューサウスウェールズの東部沿海地域に生じ、しばしば海岸や湿性地に見られる。英名を hillock bush,dotted melaleuca,独名を Johaniskrautblattrige Myrtenheide という。
 高さ1.5~6mの常緑低木ときに小高木で、全株無毛である。葉は対生し、長楕円形から皮針形で長さ2~4cm、鈍頭ないし鋭頭、中肋は顕著で、下面に油腺点を散生する。
 古い小枝の葉がつく部分の下方が円筒形で長さ5~10cm、幅5cmほどのいわゆる穂 状花序となり、密に花をつける。
 雄ずい束5個は長さ約20㎜で、鈍紅色ないし鮮紅色を呈し、各束の幅が広い柄部から扇状に15~20個の花糸が分離する。花弁は卵形、淡緑色で、脱落性である。さく(蒴)果は径約0.6cmで、基部の幅が広い。樹は観賞用に植栽される。  
40.Melaleuca lineariifolia J.E.SMITH
 Melaleuca lineariifolia J.E.SMITH はオーストラリアのクイーンズランド東部、ニューサウスウェールズ東部沿海地域の湿性地に生じ、英名を snowin-summer,flax-leaved paperbark,soft-leaved tea tree,tea tree という。
 高さ6~18mになる常緑の小~中高木である。若枝と花序は有毛である。葉は対生し、線形から狭皮針形で長さ2.5~3cm、幅0.2~0.3cm、鋭尖頭を示す。上面で僅かに凹み、下面で中肋が隆起する。
 花は長さ2.5~3cmのいわゆる穂状花序に対になってつく 。雄ずいは長さ12㎜ほどの束5個となり、花糸は白色を呈する。花序軸は花後も生長を続ける。
 材の肌目は緻密で重硬、耐朽性がある。柵柱、施削物その他と燃材に用いられる。葉から精油が収率1.5~2%で得られ、この精油は通常シネオール16~20%を 含み、強い殺菌力をもつ。これは含有量が多すぎて医療用には適当でないが、石けん、殺菌剤には有効である。ときにシネオール60%まで含む生理品種がある。  
41.Melaleuca nodosa J.E.SMITH
 Melaleuca nodosa J.E.SMITH はオーストラリアのニューサウスウェールズ東部、クイーンズランド東部の沿海地域砂質地に生じ、英名を ball honey myrtle という。常緑低木で、葉は針形、長さ2.5cmまで、質はこわい。花は整然とした径2.5cmの球形のいわゆる頭状花序になり、花糸は短く黄色を呈する。さく(蒴)果はコンパクトな灰色の球塊に集まってつき、絨毛をもつ。頂端の開口縁から下に深く弁片が 沈む。  
42.Melaleuca sieberi SCHAUER
 Melaleuca sieberi SCHAUER はオーストラリアのニューサウスウェールズ東部およびクイーンズランド東部の沿海地域湿性林に生ずる。英名を Sieber's paperbarkという。
 高さ7.5mまでの常緑低木または小高木で、若い部分は有毛である。葉は皮針形で長さは1.3cmまで、鋭頭を呈する。通常中肋のみが可視で、質はやや薄く、微小な腺点を布く。
 長さ2.5cmまでのいわゆる穂状花序を頂生する。がく有 毛で、花弁は白色である。5個の雄ずい束の扁平な柄部から羽毛状に多数の花糸がわかれて出る。さく(蒴)果は長さ0.6cmまでで、平滑である。  
43.Melaleuca styphelioides J.E.SMITH
 Melaleuca styphelioides J.E.SMITH はオーストラリアのニューサウスウェールズ東部、クイーンズランド東部の沿海地域に生じ、英名を prickly paperbark,prickly-leaved paperbark,prickly-leaved tea tree という。
 高さ4~10、ときに25mまでになる常緑の低木ないし高木で、小枝はやや下垂し、ヤナギのような優美な姿をもつ。樹皮は紙質で白色を呈する。若枝と花序軸に絹毛をもつ。葉は互生し、卵形で少し捩れており、長さ1~2cm、幅0.3~0.5cm、鋭い細く尖った 刺状の先端をもち、縦脉が多い。
 花はシュートの先端近くに出る長さ3~5cmのいわゆる穂状花序に密につき、花糸は黄白色を呈する。がくに白毛を密布する。5個の雄ずい束は長さ6㎜で、各束の柄部はやや長く、これから多数の花糸がわかれて開出する。
 さく(蒴)果はほぼ球形で小さく、上端の口縁の弁片は有毛で、しばしば短いがく裂片を残存する。
 散孔材。道管はほとんど単独で散在し、径は小さく0.20㎜までである。材の気乾比重は1.07~1.18というきわめて重硬な記載例がある。材の加工は困難で、心材の耐朽性は大きい。柵柱その他に用いられる。樹は観賞用に植栽される。  
44.マツバブラッシノキ
 マツバブラッシノキ Malaleuca thymifolia J.E.SMITH はオーストラリアのニューサウスウェールズ東部、クイーンズランド東部の沿海地域湿性砂質地に生ずる。英名を feather honey myrtle. 独名を thymianblattrige Myrtenheide という。
 高さ0.8~2mの常緑低木で、細い枝を多く出す。葉は対生またはやや対生し、線状皮針形などで長さ0.8~2cm、上面で凹み、両端に狭まる。しばしば腺点を散生する。
 短い側枝につくいわゆる穂状花序は径が1.5~2cmで短く、花は少数個ずつが集まってつく。5個の雄ずい束の柄部の幅はきわめて広く、内側に巻いて、花糸が不規則にわかれて出る。花糸は紅紫色を呈する。さく(蒴)果の上端に有毛の弁片からなる広 い口縁があり、 短いがく裂片を残存している。樹は観賞用に植栽される。  
45.Melaleuca deanei F.MULLER
Melaleuca deanei F.MULLERはオーストラリアのニューサウスウェールズ東部の沿海地域に生じ、英名を Dean's honey myrtle という。
 高さ2.7mまでのややこわい常緑低木である。葉は倒皮針形などで長さ2.5cm、幅0.6cmほど、両端に狭くなる。3~5本の縦脉が走り、鈍い緑色を呈する。花は不規則で疎らないわゆる穂状花序につき、花糸は白色を呈する。
 これらの花糸は5個の雄ずい束の紐状の柄部からそれぞれ多数が開出する。
 葉から得られる精油の収率は約0.7%で、おもに右旋性のピネンよりなり、僅かに酸化生成物を含む。粗製品で比重(15℃)0.888、旋光度r- 22.7度、屈折率(22℃)1.4026、けん化価5.7が得られている。  
46.Melaleuca decora BRITTEN
 Melaleuca decora BRITTENはオーストラリアのニューサウスウェルズ東部の沿海地域に生じ、英名を white feather honey myrtle という。
 常緑の低木ないし高木で、葉は皮針形、長さ1.3cm、幅0.15cmほどである。花は通常小枝の下方の灰色の平滑な部分長さ約2.5cmに沿っていわゆる穂状花序をなして散着する。がくは幅が狭く、花糸は白色を呈する。さく(蒴)果は杯形 で、頂端は凹啗して弁片を内包する。  
47.Melaleuca pauciflora REICHENBACH
 Melaleuca pauciflora REICHENBACH はオーストラリアのニューサウスウェールズに生ずる常緑高木である。  
48.Melaleuca squamea LABILLARDIERE
Melaleuca squamea LABILLARDIERE はオーストラリアのニューサウスウェールズ東部、ビクトリア、南オーストラリア、西オーストラリア南部、タスマニアのやや乾燥地から砂地沼泥地に生ずる。英名を mealy honey myrtle,swamp honey myrtle という。
 高さ1~3mの常緑低木で、直生する少数のこわい枝を出す。葉は互生してやや群着し、皮針形で通常上面にいくらか湾曲し、長さ0.6~1.3cm、幅0.15~0.3cm、鋭頭である。通常縦脉を3本、ときに5本もつ。若枝と葉は粉白である。
 球形ないし卵形のいわゆる頭状花序または密な穂状花序を頂生し、長さは2cmまでである。雄ずいの束の柄部の幅は広く、その周縁から花糸が出る。花糸は薄紅紫色まれに白色を呈する。さく(蒴)果は径0.5~0.7cmで、枝上に球状にかたまって群着 し長い間残存する。  
49.Melaleuca squarrosa J.E.SMITH
Melaleuca squarrosa J.E.SMITH はオーストラリアのニューサウスウェールズ東南部、ビクトリア南部、南オーストラリア東南端の沿海地域に生ずる。英名を scented paperbark という。
 高さ2~4mの常緑低木、ときに高さ10mまでの小高木である。樹皮は紙質またはコルク質である。葉はやや密に対生し、卵形で長さ0.5~1.8cm、幅0.3~0.7cm、鋭頭、基部は一部抱茎となる。質はこわく、5ときに7本の縦脉があり、無毛である。
 長さ4cm、幅2cmほどの太い円筒形のいわゆる穂状花序を頂生する。花はキャラメルのような匂いをもち、花糸は黄白色を呈する。さく(蒴)果は小さくて径0.5cmまで、上端の口辺は波状を呈する。材の気乾比重に0.71の記載があり、やや重硬で、心 材は耐朽性がある。  
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