v2.3

平井信二先生の樹木、木材研究

フサマメノキ属の樹木(その2)
5.Parkia insignis KURZ
Parkia insignis KURZ はビルマ産で、同地で myaukthanlyet という。
 大高木で、互生する2回偶数羽状複葉をもつ。羽片は4対、小葉は20~25対からなり、小葉の長さは約25㎜である。
 材は黄白色で、やや重い。外気にさらされて褐色に変わる。樹皮にタンニンを多く含む。
6.Parkia leiophylla KURZ 
 Parkia leiophylla KURZ はビルマ、タイ、支那雲南省に生じ、ビルマで myaukthanlyet,thetmagyi,中国で大葉球花豆という。
 高さ30mまで、直径が45cmほどになる高木で、若枝には細軟毛を布く。葉は互生する2回偶数羽状複葉で長さ30~60cm、羽片は15~20対あってその長さは10~15cm、羽片軸に黄褐色の細軟毛をもつ。各羽片に小葉26~56対がつき、線状長楕円形で長さ10~ 14㎜、幅約3㎜、先端は斜めに急尖し、基部は切形に近く、下側に耳状の角が出る。中肋は明瞭でその基部から長い1側脉が出る。
 縁に微細な毛があるほかは無毛である。小葉柄は無い。
 頭状花序に小さい黄色の花が密集してつく。花序は球形に近いが、下部は細くなって柄状を呈し、長さ30~40cmの花序をもち、数個が枝端に総状につく。
 豆果は線形で長さ15~45cm、幅約3cm、先端は円形で基部は狭くなり、黒色、無毛である。種子 を6~15個含み、種子がある処は膨れてやや念珠状を呈する。  
7.ロ・ヨン
 ロ・ヨン Parkia stenocarpa HANCE はインドシナ産の高木で、カンボジア名を ro yong という。
 かつて農林省林業試験場がカンボジア産杙の性質、加工について試験研究を行った結果の2、3を摘記する。
 材に辺・心材の区別がなく灰黄色を呈する。肌目は粗い。繊維の平均長さは1.1㎜、径は0.0285㎜、壁厚は0.0035㎜である。
 材の気乾比重は0.35~0.61の範囲の値がある。気乾比重0.54のもので、生材から全乾までの全収縮率は接線方向6.8%、放射方向3.4%、軸方向0.38%、縦圧縮強さ443kg/c㎡、縦引張強さ1,156kg/c㎡、横引張強さは放射方向119kg/c㎡、接線方向64kg/c㎡、 曲げ強さ927kg/c㎡、曲げヤング係数10.2×10(4)kg/c㎡、せん断強さは放射断面130kg/c㎡、接線断面125kg/c㎡、ブルネル硬さは縦断面5.6kg/m㎡、 放射断面1.5kg/m㎡、接線断面1.7kg/m㎡である。
 材の化学的組成は、ホロセルロース77.3%、αセルロース50.5%、リグニン29.6%、熱水抽出物2.8%、アルコール・ベンゾール抽出物1.0%、灰分0.94%を示す。
 製材、切削加工、乾燥はきわめて容易である。厚さ1in の材で生材から含水率15%までの人工乾燥スケジュールとして、開始時乾球温度60℃、乾湿球温度差30℃、最高乾球温度80℃、終末乾湿球温度差6℃、乾燥日数4~4.5日があげられている。
 接着力はユリア・メラミン樹脂接着剤ではレッド・ラワン Shorea sp. と同様またはそれ以上、フェノール樹脂接着剤ではレッド・ラワンより低い。塗装性は良好である。ロータリー単板切削は容易であるが、単板は割れ易い。材は腐朽しやすく、かびが生えると悪臭を出す。
 インドシナでは材は一般用材に使用される。種子を食用とする。  
8.ネジフサマメノキ
 ネジフサマメノキ Parkia speciosa HASSKARL はタイ、マレー、スマトラ、ボルネオ、ジャワ産で、しばしば植栽されている。マレーで petai,nyiring という。
 大きいものは高さ50mまでになる大高木で、乾季の短い期間に落葉する。やや険しい板根が出る。樹皮は灰褐色で根元付近は紅褐色を示し、平滑またはややフレーク状に裂片化する。
 葉は互生する2回偶数羽状複葉で長さ15~30cm、羽片は10~20対あって、基部が膨れる。各羽片に小葉が20~40対つき、小さく線状皮針形で長さ1.5~5㎜、直生し鈍頭~円頭、基部は切形に近く、下端がやや耳状となって左右不同、中肋はほぼ中央にあ る。
 花は頭部が大きい棍棒状の頭状花序に密集してつき黄白色である。花序は柄を含めて長さ22~50cmで下垂する。果実は果序の先端につく数個が房になってぶら下がり、 線状楕円形などで長さ25~40cm、幅3.5~6.5cm、扁平でしばしば捩れており、種子がある部分は膨れている。種子は数個から10個くらいで卵形を呈する。
 材の組織はフサマメノキ Parkia javanica MERRILL と同様で、材の気乾比重に0.43~0.58の記載があり、やや軽軟である。材質、利用もフサマメノキと同様と思われるが、 市場材となることはほとんどない。
 マレーなどで植栽および野生のものの豆果を採取し、ニンニクのような匂いのある種子をカレーなどの料理の味付けに多く用いる。
 また未熟の種子、若葉、花序軸の若い部分などを生食あるいは塩漬で食べる。若葉を家畜の飼料にすることもある。  
9.ペタイ・メランチ
 ペタイ・メランチ Parkia singularis MIQUEL はマレー、スマトラ、ボルネオ産で、マレーで petai meranti という。
 高さ40mまでになる大高木で、樹皮は鱗片状となり、また縦の割れ目が入る。葉は互生する2回偶数羽状複葉で、羽片は1~2対のみで長さ5~9cm、頂端付近に腺体1個をつける。各羽片は小葉3~5対を対生し、小葉は無柄またはきわめて短柄、卵形 などで大きく長さ30~50㎜、幅15~30㎜、先端と基部はともにほぼ円形、中肋は中央にある。側脉が3~8対あって、縁から少し内側で湾曲して互いに連結する。全体の葉柄は太く短く、長さ2.5~7.5cmである。豆果は線状長楕円形などで捩れており、長さ 15~25cm、幅1.5~2.5cmで扁平である。
 材は散孔材。ふつう辺・心材の区別がなく淡黄褐色を呈する。ただし直径40cmくらいのもので、中心部に径10cmくらいの暗色を呈している部分があるとの記載がある。
 道管は単独が多く分布数はきわめて少ない。単せん孔をもつ。繊維の長さは1.3(1.1~1.6)㎜、接線方向の径は0.02~0.03㎜、 壁厚は0.002㎜の記載がある。軸方向柔組織では、周囲柔組織が翼状から連合翼状柔組織に発達し、道管を中に含んで接線方向に長く帯状になっているものがある。多室結晶細胞も見られる。放射組織は1~4細胞幅、2~20細胞高で低い。
 構成は同性である。
 材の気乾比重に0.68~0.81の記載がある。マレー周辺産のこの属のものの中では材は重硬で、通常の材として一般に利用できるものはこの種類だけという。
 ただしサバでは普通にあるが、マレーでは供給量は少ない。また一般に燃材として用いられている。  
10.ヒロハフサマメノキ
 ヒロハフサマメノキ Parkia sumatrana MIQUEL (異名 Parkia biglandulosa WIGHT et ARNOTT,Parkia pedunculata MACBRIDE)はマレー、スマトラ産で、 マレーで petai nering,nering という。ネジレフサマメノキ Parkia speciosa HASSKARL に似た大高木である。葉は互生する2回偶数羽状複葉で、羽片は数対、小葉は30~50対ある。小葉は大きく長楕円形で著しく湾曲し、長さ13~25㎜、幅5~8㎜、鈍頭である。葉軸上の基部から少し離れた上面に、しばしば1対の腺体が並んで存在する。豆果 は果序の先端に数個が房になってぶら下がり、線形などで捩れない。
 豆果はふつう食べられないが、象や鹿が食べるという。また枝葉を家畜の飼料にするという記載がある。  
11.Parkia harbesonii ELMER
 Parkia harbesonii ELMER はフィリピンのパラワン島の海抜150mまでの地域に生ずる高木である。同地で butad という。  
12.Parkia sherfeseei MERRILL
 Parkia sherfeseei MERRILL はフィリピンのミンダナオ島に固有の大高木である。同地で kunding という。材はフサマメノキ Parkia javanica MERRILL によく似ている。  
13.コロム
 コロム Parkia korom KANEHIRA はミクロネシアのポナペ島に固有で、現地名を korom という。
 高さ20m、直径1mまでになる高木で、小枝、葉軸、花序柄に褐色の短毛をもつ。葉は互生する2回偶数羽状複葉で長さ約60cm、 羽片は6~10対、小葉は30~40対で長楕円形、長さ約12㎜、幅4~5㎜、円頭、基部は歪んでおり、無柄である。
 倒卵形の頭状花序に多数の花が密集してつき、花序の径は約3cm、花序柄の長さは約20cmである。豆果は広線形などで長さ約30cm、 幅約4.5cm、扁平、外面に褐色毛を被る。
 材は白色で、木理は通直、軽軟である。現地民はこれから丸木舟を作る。   平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る