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平井信二先生の樹木、木材研究

8.sundriの類
 インド・西ベンガル州からバングラデシュにかけてのガンジス河口域はSundarbansと呼ばれる世界一の広大なマングローブ地帯である。この地域の主要林木の1つはsundriで、ほとんど純林に近い処もある。その大部分は、Heritiera fomes BUCHHAMILTON(異名:Heritiera minor ROXBURGH)で、この種類の分布はインド東部からバングラデシュ、ビルマ、タイに及んでいる。またsundriと呼ばれるもののうちには一部サキシマスオウノキHeritiera littoralis DRYANDERも含まれる。
 樹高20m、直径60cmまでになる中高木で、板根がよく発達し、また湿地に生えているため呼吸根を出す。葉は単葉で、果実は圧扁された斜卵形、僅かに竜骨が現われる。狭義のHeritieraに入る種類である。
 散孔材。辺材は淡紅褐色、心材は紅褐色~暗紅色で肌目は緻密である。材の気乾比重の値に0.93、0.93~1.04、1.07がある。ビルマ産の比重0.93のもので求められた材質数値の例をあげる。生材から気乾までの収縮率は放射方向5.9%、接線方向11.6%、縦 圧縮強さ645kg/cm2、横圧縮強さ158kg/cm2、曲げ強さ1,352kg/cm2、曲げヤング係数18.1×10(4)kg/cm2、せん断強さはまさ目面145kg/cm2、板目面157kg/cm2、ヤンカ硬さは横断面797kg、まさ目面1,170kg、板目面1,145kgである。
 材が重硬なため乾燥には慎重な注意が必要であるが、心材の耐朽性は高い。Sundarbans地方の燃料材として最も重要なものの1つであり、また建築・橋梁・埠頭などの構造材、各種柄材や滑車ブロックなどの工具材、ボート・オール・帆柱などの船舶材 、車輪などの車両材その他に広く用いられる。樹皮には7.2~12.4%のタンニンを含んでいる。
 なおsundriサキシマスオウノキに近いものにミクロネシア・テニアン島産のHeritiera longipetiolata KANEHIRAがある。和名:ナガエスオウノキ、テニアン名:ufaで、高さ15m、直径80mまでになり、葉柄は長さ4~7cmできわめて長い。心材は紅褐色を呈しきわめて硬い。
9.niangon
 西アフリカのギニア湾沿岸地域にも市場材となる種類があり、木材の取引名niangonと呼ばれる。これには次の2種が含まれる。
(1)Heritiera utilis SPRAGUE
 異名にTarrietia utilis SPRAGUEがある。niangonのほかにリベリアでwishmore、ガボンでogue、ガーナでnyankomという。ギニア湾沿岸に広く分布し、高さ30m、直径100cmまでになる中~大高木で、樹皮はふつう褐色、初め平滑で後に長方形の裂け目が入り鱗片状で剥げる。葉は ふつう5~7小葉からなる掌状複葉であるが、ときに単葉で5~7深裂するものがある。果実は楕円形で長さ約3cm、翼は長さ約6cmとなる。
 辺心材の境界は不明瞭で、心材は淡紅色~紅褐色、肌目はやや粗く脂気様の触感があり、木理はときに波状ないし交走を示す。シリカは見られない。気乾比重の値に0.60~0.80、0.63、0.64~0.72があり、強度はおおよそAfrican mahogany(Khaya spp.)に近いとされる。製材・乾燥・切削加工はおおよそ容易で、接着・塗装・仕上げも良好である。耐朽性は中庸程度。用途は建築その他の構造材・内装材、家具、器具などと広く、また枕木、坑木にも用いられる。
(2)Heritiera densiflora KOSTERMANS
 異名にTarrietia densiflora AUBREVILLEがある。ガボン産で、葉は5小葉の掌状複葉または5深裂の単葉である。材は前種と同様に扱われる。
 
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