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平井信二先生の樹木、木材研究

モクセイ属の樹木(その2)
5.中国地域産のモクセイ属の樹木(Ⅰ)
 中国地域産のモクセイ属の樹木には、これまでに記したギンモクセイOsmanthus fragrans LOUREIRO var.fragransヒイラギモクセイOsmanthus×fortunei CARRIEREナガバモクセイOsmanthus matsumuranus HAYATA、Osmanthus suavis KING ex C.B.CLARKEのほか、次の種類がある。
 
(1)Osmanthus armatus DIELSは支那四川省・湖北省などに産し、中国名は紅柄木犀という。常緑低木または小高木で、高さ2~6mとなる。小枝は灰白色で、幼時は細軟毛がある。葉は皮針状楕円形などで長さ6~15cm、幅2~4.5cm、鋭尖頭、基部は円形から浅心形を呈する。両縁 に硬くて尖った刺状牙歯が6~7ときに17個まである。まれに全縁となる。側脉は6~15対、厚い革質で、両面はほぼ無毛である。葉柄は短く長さ0.2~0.5cm、まれに0.8cmまでで、細軟毛を密布する。
 秋に開花し、葉腋にきわめて短い集散状に4~12個の花を束生する。包を具え、花梗の長さ6~10mmで繊細である。がくは長さ1~1.5㎜で、大小不同の4裂片がる。花冠は白色で芳香があり、長さ4~5mm、筒部と4裂片とほぼ同長である。雄花に雄ずい2個 が花冠筒部の中位につき花糸の長さは0.5~0.8mm、葯の長さ1.5~2mm、葯隔は伸びて小さい尖頭をなす。なお退化子房1個をもっている。果実は楕円形などで長さは約1.5mm、熟して黒色を呈する。
(2)Osmanthus attenustus P.S.GREENは支那南部に産し、中国名は狭葉木犀という。
 高さ約4mの低木ないし小高木で、小枝は灰白色、幼時は細軟毛をもつ。葉は長楕円形~皮針形で長さ6~8cm、幅1.5~2cm、長い尾状鋭尖頭、基部は狭い楔形である。全縁、側脉は6~7対ある。革質で、両面はほぼ無毛、腺点を布く。葉柄は長さ0.写 真~1cmで細軟毛がある。
 9月に開花し、葉腋に4~5、多いものは9~10個の花を束生し、長さ約3㎜で細軟毛を密布する包をもつ。花梗の長さは2~5㎜で無毛である。がくは長さ約1mmで、不同長の4裂片がある。花冠は白色で芳香があり、筒部の長さ2~3mm、4裂片の長さ約2mm、 雄花では雄ずい2個が花冠筒部の中位につく。花糸の長さは約1mm、葯の長さは約2mm、葯隔は伸びて小尖頭になる。ほかに長さ約1mmの円錐状の退化子房1個をもつ。果実は知られていない。
 
6.中国地域産のモクセイ属の樹木(Ⅱ)
(3)Osmanthus caudatifolius P.S.GREENは支那雲南省産で、中国名は尾葉桂花という。
 常緑高木で、高さ8~10mとなる。小枝は灰白色を呈し無毛である。葉は狭楕円形などで長さ8~11cm、幅2~3cm、先端は尾状鋭尖頭となり、基部は狭い楔形、全縁、側脉は12~15対ある。革質で、ほぼ無毛、腺点は上面であまり明瞭でなく、下面で小さ い針状突起となる。葉柄は長さ約1cmで無毛である。
 11月に開花し、花は約6個が葉腋に束生する。長さ約2㎜の包をもち、花梗の長さは約6mmで無毛である。がくの長さは約1mmで、4裂片はきわめて短い。花冠は白色を呈して芳香があり、筒部の長さは約2mm、4裂片の長さは約2.5mm、雄ずい2個は花冠筒部 の中位につき、花糸の長さは約1mm、葯の長さは約1mmで、葯隔は伸びて小尖頭をなる。雌ずいは1個、子房は卵形で長さ約1mm、花柱の長さは約1.5mm、柱頭は頭状を呈する。果実は知られていない。
(4)Osmanthus cooperi HEMSLEYは支那東部・中部・南部産で、中国名は寧波木犀という。
 常緑の低木または小高木で、高さ3~8mとなる。小枝は灰白色を呈する。葉は楕円形または倒卵形で長さ4~10cm、幅2.5~5cm、尾状鋭尖頭、基部は広い楔形~円形、全縁、側脉は7~8対である。革質で、両面はほぼ無毛で腺点があて小さい針状突起 となる。葉柄の長さ1~2cmである。
 9~10月に開花し、花は4~12個が葉腋に束生する。長さ約2mmの包を具え、花梗の長さは3~5mmである。がくは長さ約1.5mmで4裂する。花冠は白色で長さ約4mm、筒部と4裂片はほぼ同長である。雄花では雄ずい2個が花冠筒部の下方につく。花糸の長さ約 0.5mm、葯の長さ約2mm、葯隔は伸びて小尖頭をなす。雌花では雌ずいが1個あり、長さ約3mm、花柱の長さは葯2mmである。果実は長さ1.5~2cmで、翌年の5~6月に青黒色に熟する。
(5)ツツザキモクセイ(デラベイヒイラギ) Osmanthus delavayi FRANCHET(異名Siphosmanthus delavayi STAPF)支那西南部産で、中国名を山桂花、管花木犀という。
 高さ2mほど、まれに5mまでになる常緑低木で、小枝は灰褐色を呈し、若枝は淡紅褐色で細軟毛を密布する。葉は楕円形、卵形などで長さ1~4cm、幅1~2cm、鋭尖頭のものから鈍頭で小尖端となるものがあり、基部は広い楔形である。両縁に6~10個の鋭尖 な鋸歯がある。側脉は4~5対、厚い革質で、上面中肋に沿って細軟毛を生じ、両面に小腺点をもつ。葉柄の長さ0.2~0.3cmで、ふつう細軟毛がある。
 春に開花し、花は葉腋または小枝の頂端に4~8個が束生し、芳香がある。花梗の長さは2~5mmで無毛、まれに細軟毛があり、早落性の包をつける。がくの長さは4~6mmで、4裂片と筒部とはほぼ同長である。花冠は白色で、筒部が6~10mmと長いことが特 徴で、4裂片の長さは4~6mmである。雄ずい2個は花冠筒部の中位につき、葯隔は小尖頭に延伸する。雌ずいは1個で柱頭は2裂する。石果は楕円状卵形で長さ1~1.2cm、熟して青黒色を呈する。樹は庭園樹として植栽される。
(6)Osmanthus didymopetalus P.S.GREENは海南島産で、中国名を双弁木犀、離弁木犀という。ふつう常緑小高木で、高さ3~9m、最大18mまでとなる。樹皮は灰白色を呈し、小枝は灰黄色で無毛であるが、まれに幼枝に細軟毛がある。葉は狭楕円形などで長さ6.5~16cm、幅2~4cm、急鋭 尖頭、基部は楔形、全縁、側脉は5~8対である。厚い革質で、ほぼ無毛、両面に小腺点がある。葉柄の長さは1~2cmで無毛である。
 9~10月に開花し、花は6個以上多数が葉腋に束生する。長さ2~3mmの包をもち、花梗の長さは3~10mmである。がくは長さ約0.5mmで代大小不同の4裂片がある。花冠は白色~黄色を呈し芳香がある。その構造は同属中でも特異で、4裂片があるが、2片ずつ が対になって下部が合着しており、合着部の長さは5~7mm、その先の裂開部は帯状で長さ3~4mmである。雄ずい2個は2裂片結合部につき、葯の長さが約1.5mmである。雌ずいが1個あってその長さは約2.5mm、そのうちは花柱部分の長さは約1mmで、柱頭は やや2裂する。石果は狭い卵状楕円形で長さ1.5~2.5cm、先端は鈍頭、基部は切形に近く、紫色または淡紫色を呈する。
(7)Osmanthus fordii HEMSLEYは支那広東省産で、中国名を石山桂花という。
 高さ約2mの常緑低木で、小枝は灰褐色、無毛である。葉は楕円形などで長さ3~6cm、幅2~2.5cm、鋭尖頭~鈍頭、基部は広い楔形または円形で、全縁、側脉は4~6対ある。薄い革質で、両面に腺点がある。葉柄の長さは0.5~1cmで無毛である。
 花は6~12個が葉腋に束生し、長さ約3mmの包を具え、花梗の長さは1~4mmである。がくの長さは約0.5mmで、大小不同に4裂する。花冠は白色で、筒部の長さは約1.5mm、4裂片の長さは1.5~2mm、雄ずい2個は花管筒部の中位につき、葯の長さは約1mm、葯 隔はやや突起して鈍頭をなる。果実は知られていない。植栽されることがある。
(8)Osmathus gracilinervis CHIA ex R.L.LUは支那中部・南部産で、中国名を無脉木犀という。
 高さ2~5mの常緑低木~小高木で、小枝は灰褐色、無毛である。葉は長楕円形などで長さ5~9cm、幅2~3.5cm、長い尾状鋭尖頭をなし、基部は広い楔形から鈍形である。全縁、側脉は5~8対、革質で、葉柄は長さ約1cmで無毛である。
 9~10月に開花し、花は5~10個が葉腋に束生する。長さ約1mmの包を具える。がくは長さ約1mm、裂片は明瞭または不明瞭、花冠は白色で長さ約4mm、筒部と4裂片はほぼ同長である。雄花では雄ずい2個が花冠筒部の中位につき、花糸は長さが短く約0.5mm 、葯は長さ約1.5mmで、葯隔は伸びて明瞭な小尖頭となる。ほかに長さ約1.5mmの退化子房がある。果実は楕円形で長さ約1.5cm、熟して緑黒色を呈する。
  (9)Osmanthus hainanensis P.S.GREENは南島産で、中国名は顕脉木犀という。
 高さ5~6mの常緑低木~小高木で、樹皮は灰黒色、小枝は灰褐色を呈し無毛である。葉は長楕円形などで長さ7~12.5cm、幅2.5~4.5cm、ほぼ尾状の鋭尖頭で鈍端、基部は楔形、全縁、側脉は9~12対、厚い革質で、両面にやや隆起した細脉とともに不 明瞭な網状をなす。葉柄の長さは1.5~2cmで無毛である。
 10~11月に開花し、花は4~5個が葉腋に束生する。長さ2~3.5㎜の包をつけ、花梗の長さは5~7mmで無毛である。がくの長さ約1mmで、浅く不同に4裂する。花冠は白色で芳香をもつ。筒部の長さは2~2.5mm、4裂片の長さは2.5~3mmである。雄花では 雄ずい2個が花冠筒部の下半につく。花糸の長さは約0.8㎜、葯の長さは約2mm、葯隔は伸びてきわめて小さい尖頭となる。ほかに長さ2~3mmの退化子房がある。果実は楕円形などで長さ1.5cmほど、緑色を呈する。
(10)Osmanthus henryi P.S.GREENは支那湖南・雲南・貴州省などの産で、中国名は蒙自桂花という。
 高さ3~8mの常緑低木~小高木で、小枝は黄白色で初め細軟毛があるが後無毛となる。葉は楕円形、倒皮針形で長さ7~11cm、幅2.5~4.5cm、尾状鋭尖倒、基部は狭い楔形、全縁または両縁に各20個ほどの牙歯状鋸歯がある。側脉は7~9対あって、 厚い革質、上面の中肋に細軟毛、両面に腺点をもつ。葉柄の長さ0.8~1.2cmである。
 10~11月に開花し、花は4~5個が葉腋に束生する。細軟毛を布く包をつけ、花梗の長さは8~10㎜で繊細、無毛である。がくは長さ約1mmで三角形の4裂片がある。花冠は白色または淡黄色で芳香をもつ。筒部の長さは約1mm、4裂片の長さは約2mmである。
 雄ずい2個は花冠筒部の中位に着き、花糸の長さは約1mm、葯の長さ約1.5mm、葯隔は顕著な小尖頭をなす。雌ずい1個は長さ約2mm、花柱の長さは約1mmで、柱頭は頭状を呈する。果実は長楕円形で長さ約2cmである。
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