v2.3

神谷のインドネシア点描

空港2題 その弐『積んでは崩し』の巻き

昔、空港は国内線専用のクマヨラン空港と国際線専用のハリム空港に分かれておりました。 それも全く違った地区に有るので簡単に乗り継ぎ移動が出来ず大変使い勝手の悪い空港で 暗く暑く臭く一国の玄関としては全く不適切な代物でした。

ジャカルタ北部の海ぎわチェンカレン地区に国際・内統合のスカルノハッタ空港が建設されると 聞いた時は大きな期待をもってこれを見守りました。
空港取り付け専用有料道路も建設され国家プロジェクトとしてインドネシアの威信を掛けて 建設される空港でした。
期待を持ってオープンしたばかりの空港に降り立ちました。 
そしてその期待は無残に裏切られました。

やたら茶色に塗った大きな鉄パイブが多用されているのは恐らくスハルト大統領のパトロン、 スンドノサリムさんの持っている鉄鋼会社への援助でしょう。 でも、こんなのは可愛い方です。
この中途半端な嵩上げ

この中途半端な嵩上げ

雨季に大潮を迎えると取り付け有料道路が海水で冠水してしまうのです。 空港へ行くにはこの道しかありません。 一国の表玄関が冠水すると空港へ行けず空港からも出られない雪隠詰め状態となるのです。
敢えて湿地帯を何らかの意図を持って買い上げ空港を作ったからには冠水のレベルを知って 道路を作るぐらいの配慮はあってしかるべきです。
ブギス族は自分の住む地域の冠水レベルを知って高床式家屋を建てます。
床の位置は冠水レベルより高くします。…当たり前のことです。
国家プロジェクトが湿地帯に道路を開くのに冠水レベルを知らずに作ってしまったのです。 毎年雨季の大潮を迎えるたびに一国の表玄関が水浸しの雪隠詰めに会うのです。
ポンプ車

ポンプ車
最初はポンプを各所に置いて排水しようとしましたが追いつくはずもなく、とうとう冠水する道路の 両側に微妙な高さの高架新道路を作ってしまいました。
道路リフトアップ工事とほざいておりましたが単に水位を測らなかったことのミス隠しです。
『最初からこの高さにしておれば一回で済んだものを、無駄使いめ!』…と怒るのはインドネシアの 素人だそうです。
これは、『2回工事をすれば二度おいしい』…(裏金も2回取れる)、と読み解かねばならないそうです。
それが証拠にやたらインターチェンジを設けて外部からの車流入を招き道路が渋滞し始めたこの頃、 折角作った壁を壊してまたぞろ車線を増やす工事を始めたのです。高架化とは別の工事です。
『最初から4車線にしておけば良かったものを!』、ではなくて、『3回裏金が取れる』、のです。
沈む高速道路?

沈む高速道路?
そう言われてみれれば、 ジャカルタでもバスウェイというバス専用路線の工事がいつまで経っても終わりません。 縁石を置いては壊し道路を掘り返し埋めなおし、一体いつになったら終わるのでしょうか…

昔、ウジュンパンダン(今のマカサール)で雨季に道路堀をしているのを見ました。
掘っても掘ってもすぐに雨水で埋まります。 永遠に終わらない工事です。
当時は何の為にこんなことをするのか理解できませんでした。
乾季にやれば一回で済むのに…。

そうではありません。

一回で済ませてはいけないのです。
貧しい人々に工事に携わって現金収入が得られるよう配慮するゴトンロヨン(相互扶助)なのです。 雨季に工事をすればいつまでたっても終わらず永遠に給料がもらえる公共事業となるのです。 同時に工事を発注するお役人の懐へは工事代金の一部が流れ込み続けることになります。 ジャンビでも道路を掃除している人達がおります。掃除するはなから落ち葉が落ちてきていつまで 経っても終わらないお仕事です。 インドネシアには終わらないお仕事が多いのです。

昔、『積んでは崩し』…というマンガを床屋で見たことがあります。
罪人に石垣を組ませてはこれを自分で崩させ、賽の河原の石積みのごとくいつまでも終わらせないで 彼らの体と神経を追い詰めてゆく拷問です。

インドエンシアではこれが拷問ではなく際限もなくお金が出続ける裏金捻出の永久機関となるのです。 国が違えば拷問も福祉になるのですね。

世界は広いと思います。

懐かしいクマヨラン空港へ行く道

懐かしいクマヨラン空港へ行く道

空港への高速も川の如し

空港への高速も川の如し(パイロットも立ち往生)

高床式ハウス

高床式ハウス

水面が道路と同じ高さ

水面が道路と同じ高さ

凄い工事

凄い工事

通信・この中途半端な高さの違い

通信・この中途半端な高さの違い

いつまで経っても終わらないバスレーンの工事

いつまで経っても終わらないバスレーンの工事

topにもどる