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日本のこころと和風住宅

和風住宅の理念に学ぶ


ここから和風住宅、日本的な家づくりを探ってみると、まず第一に、丈夫で長持ちしています。
基礎固めをしっ かりして床下を取って丈夫な土台が使われていますから、ゆるがず、風通しもよくて腐りにくく虫喰いもありません。
神社等の床下は、子供が遊べるほどの高さで、腐ることはまずありません。
ケヤキなどの太い大黒柱を中心に、主柱も太い柱が使われ、どっしりと梁が張っています。
筋交いなどがなくても丈夫ですし、地震の揺れには逆らわず、逃がすように出来ています。
第二は、家族が集い、寛ぐスペース(居間)が中心の配置で、団欒を大切にした造りになっています。
家族が絆を深め、お年寄りの話しも聞き、食事も一緒にとる場所になっていて、それぞれの座る位置もはっきりしているという風に、家族中心の住まいで、個人が中心ではあり
ませんが、夫婦の寝屋も区分された造りです。
第三には、自然をふんだんに取り入れる造りになっています。
夏の暑い時には日射しを遮るひさし、輻射熱を伝えにくい屋根や天井で、室内の熱も上へ逃げやすく、木材や紙や土壁が熱や湿気を調整してくれます。
外からの風を心地良く感じられるのが日本の家で、冬の寒い時は、隙間風は入っても、暖が内に籠り保温性があります。
自然を取り入れ、自然の素材を使うことと、造り方で、外の温度を緩和し、湿度を調整したり風で吹かせて快適さを育てています。
昔の家の冷暖房は、夏は扇風機とウチワ、冬は囲炉とコタツや火鉢ぐらいの自然住宅というべきものでした。
第四には、この自然と共生した造りと自然の素材を使うことで、不健康を考えなくてもよい健康住宅でした。
アレルギー物質はありませんし、電磁波の心配もありませんから、プラスイオンが発することなく、マイナスイオンに満ちていました。
それに自然の光や風、木材やい草 等を通して五感で〝ゆらぎ〟を感じ取り、自然の超高周波音につつまれた健康を育てる住まいでした。
第五に、家の構造は極めてシンプルで、余分なものは、タンスや食器棚とさえ言われるほど、簡素でした。
構造 材と土や木の壁、板戸かフスマの仕切りで、特に田舎の家は田の字形の造りを基本に、家族構成等で変化をつけるものが多く見られます。
第六に言えるのは、材料はその土地の木と土が主だったことです。
昔は大工さんと材木屋さんが一体となってい ましたので、自然乾燥された地元の木材を加工して主材料とし、近くの山から出した土を良く捏ねて使いましたし、基礎の石さえも近くの玉石を集めて埋めていました。
屋根も近辺で作られた瓦やカヤ、ワラが使われました。
建て前の時には近所の人が休みを取って手伝うなど、全てが「地場」でした。
こうして造られた家が、いかにも日本的で気候風土に合い、丈夫で、健康で、和に満ちた家だったことがわかります。
この日本的な家、和風住宅の良さを改めて見直し、これからの住まいづくりに生かす工夫が大切になっています。
都会でも生かすべき和風住宅の理念
現実の生活を取り巻く環境からすれば、どこにでもこのような和風住宅とはいかないことは言を待ちません。
特に都会であればあるほど、庭をつけるだけの土地が問題になります。
冷暖房や車の廃気ガスで外の熱は息苦しいばかりで、煤煙とホコリとプラスイオンに満ちていますし、地熱の暑さも冷えも極立っています。
騒音は響いてきます。
戸建てを考えても、日本的な家づくりをできるのは、残念ながら田舎や山村でしか出来ないのが現状かもしれません。
しかし、大切なのは和風住宅づくりに流れている文化であり、理念のはずで決して形ではありません。
どこで建てるにしても、シンプル・簡素な造りで、丈夫で長持ちする家を考えることが大切です。
基本的に大壁工法は、和の理念と相容れないものを持っていますし、建設省等の言う二十年保証とか三十年住宅とかと言う基準を満たすだけで、高気密化の路線上のものが多いと考えざるを得ません。
百年住宅の柱となるのは、構造と構造材が出発点です。
強度と耐久性のある太い柱を主とした軸組工法が何故、長年にわたって日本に定着してきたかをしっかり促える ことが必要です。
耐震性が言われますが、高層ビルの耐震性は、揺れ動かない設計ではなく、揺れ応力を利用し、上に力を逃がすように出来ています。
貫工法やクサビの利用も同じ考え方ですし、最近開発された国元商会の本格木造住宅用の接合補強の金物システムも、あらゆる方向からの複合力に、しなやかに耐えるよよにと設計されています。
耐震性への考え方も、日本の伝統の中にはきちんと生きていることを忘れるわけにはいきません。
基礎をしっかりさせることは大前提です。
奥尻島や阪神での大地震で被害の大きかったハウスメーカーの住宅の大部分は、基礎の不十分さにあることと、土台の腐蝕が指摘されています。
床をコンクリートで密閉すれば、湿気が溜まり、腐蝕菌が繁殖するのは当り前です。
それと、シンプル・簡素なものほど長持ちすると言われています。
利便性や機能性の追及はほどほどにして、住み易さをもっと考えることに比重を移すべきです。
材料の選択とも関係しますが、住み易い家ほど、住むほどに愛着が生まれます。
次いで、材料については、もっと大胆に木材を使うことを考えたいものです。
木材は高いという伝説的なものがありますが何十年、何百年育てられた木材が、大根より安いという不思議や、石油や鉱物資源の材料と比較されるのではなく、木材を使うことで健康を増進し、しかも有に五十年、百年の耐用年数を持つことを考えれば、決して高いわけではありません。
プレハブ住宅等で使われる木材は数m3しかならず、全体価格の五%程度にすぎません。
木造住宅と言えども二五%程度ですから、家全体の木材価格は推して知るべしです。
都会での健康問題を考えると壁面をどうするかは非常に
重要になります。
断熱性も遮音性も考えながら、煤煙やプラスイオン対策も考慮すべきです。
それを実現できるのが土と木材です。
珪藻土や木炭を加えた壁土などが出始めましたが、これらは、基本的に求められる条件を満たすものと言えますし、最近取り入れられてきたスギやヒノキのムク板を二重、三重に貼り合せた壁は、殆んどの条件をクリアしています。
問題は、都会の防火基準の設定されている所くらいではないかと思われます。
内装材にしても、使用中も有害で、廃棄時には環境ホルモン、ダイオキシン問題を生むような、自然に還らない化学的なものは使わずに、木材をはじめとする自然の素材を使うことです。
ここでは繰り返えしはしませんが、環境にも住む人にも最も優れたマルチ素材としての木材を適材適所に使ってこそ、健康で、愛着が生まれ、長持ちする家をつくることができるのです。
問題は、その木材の流通と入手ルートをどうするかというところへ来ると思われますが、そこには建築に携わる人々の住まいづくりへの考え方と、提供する木材界の考え方の是正と近付き合う気持ちが大切であろうと思われます。
新しい道づくりは、これからが本番と言えるようです。
日本らしい和風住宅の良さを生かしながら、時代と環境に見合ったこれからの家づくりを模索し、実践する時が来たのであり、住まいづくりを、本来の地場産業として復活させ、ハウスメーカーの手から生活者、建築・設計者の手に主役の座を移す時期に来ていると言えましょう。
木材界も、この輪の中に参加することで二十一世紀を担 える一翼となれるのではないでしょうか。
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