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木材の疑問・質問に答えて なんでもQ&A

監修 佐道 健

Q 木材の価格について、木のこころで考えみると?

簡単そうで非常に難しい質問です。
いくつかの問題がこの中には含 まれており、一口では言い切れませんので、3点に分けて答えます。
(1)原材料としてのコスト  
末端のユーザーは「高い」と言い、山元や製材品など一次加工品を出 す生産者は「安い」と言います。
木材について、末端のユーザーや施工 者から見て「高い」というのは、感覚的に高いという面もありますが、 高いという先入観がある上に、代替材と呼ばれる他の材料と比較されて 言われる場合が多いと思います。
 ある面では原材料が化石燃料(石油等)や鉱物資源を、近代化された 工場で大量に生産すれば、低コストで出来ることになりますから、手間 をかけた木材が高いということになるのかもしれません。
 しかし反面、生産者サイドでは経費が出ないで、採算がとれない厳し さがあるのも現実ですし、末端価格もかなり押さえられ、決して高くは ないものが多いのも事実です。
 実際に、以前にも触れたように、普通の木造住宅でも木材費用は数百 万円、プレハブでは2百万円以下しか占めていないのです。
特にプレハブ 等では間接費、工事費、鉄骨等の費用、住機費等を計上した上で木材費を 言う場合が多くあります。
つまり、ハウスメーカーやゼネコンが必要と するものを引いだ上で残り少ない予算の中で木材を見て高い、安くしろ と言われています。
 この両面については、本誌創刊号のこのコーナーでも取り上げていま すので、同時に参照して下さい。
 しかし、この中には、まだいくつかの問題があります。
ひとつは木材 業界の流通の不可思議さです。
木材業界の一次加工業者の殆んどは、ど う流通し、誰がどう使い、価格はどうなったかを知らない場合が大部分 です。
 それに、複雑な流通経路(材料の種類によっても異なります)が存在 し、価格の決定権を流通が握っている場合が多いことと、経路が多いほ どマージンが嵩むことになり高くつくという面もあります。
 これらのことが相い重なって高くなっているという現実もあります。
 それに加えて、木材業者の販売が、一本とか一枚とかの単位よりも、 立方m単価というのも少なくありません。
これも実際の価格を解かりに くくしますし、高値感を呼ぶ要因となっています。
 これらは主に、木材業者の責任ですが、その目の先が、ハウスメーカ ーや大口購入者に向けられていたことによる面が大きく、実際の家づく りに関わる人たちへの情報提供や供給のためのパイプづくりを怠ってき た結果と言えるものです。
 この状況を打開するためにこそ、いま求められているのが、家づくり に携わる人々と木材業の提携です。
 現段階では、本誌でも取り上げているグループ化やネットワーク化の 動きの中に、木材業者も若干含まれていますが、まだほんの一部です。
これをもっと大きな輪にすることと、木材業界内に、各業種のグループ 化を押しすすめ、求められるあらゆる材種の木材、家づくりに必要な全 ての木材と木質材を提供できる仕組みをつくり、建築関係者とのネット ワークをつくることが必要だと考えています。
 「木のこころ」では、この発刊を続けることで、こういう動きも作っ て行きたいと考えています。
(2)商品としての木材の流通  
そこで、本論の「木のこころから見た木材価格」について考えてみま す。
 木という植物は、人類が生れるはるか昔、約3億年前に針葉樹が生まれ、 1億年から1億5千年前に広葉樹が生まれています。
 木をはじめとする地球上の生物の殆んどは、人間が誕生できる地球環 境づくりに必要な存在として生まれていると言えるものですし、今もな くてはならない存在であると言えます。
 そんな有難い生物種を現代人が滅亡させるという傲慢さは許されない のは当然ですが、同時に、だから使うなとか、切るなということにもな りません。
 なぜなら、人間は、地球上の究極の存在として生まれたということに は、人間としての役割があるはずですし、地球上の全てに責任を持つべ き立場に居るはずです。
 その人間が生存し人間としての役割を果すためには、自然の産物、自 然の恵みを分けてもらい、生活しなければなりません。
自然も、人間が 生存するために自然に手をかけることを拒否するということはありませ ん。
むしろ、人類と地球の進歩のために使われるものであるならば、喜 んで認めてくれていると思われます。
 木のこころの真底はここにあると考えていいでしょう。
ということは、 そんな木の価格は、生活を犠牲にするようなものであってはいけないも のですし、本来は互助の日本人の精神が発揮されれば、タダ(無料)に 近いものであっていいはずです。
 しかし、これは、地球・自然との関係のみからの本質論ですから、現 実的ではありません。
少なくとも、生産する過程(山から切り出し、丸 太として市場に出す工程)から、1次加工、2次加工、流通という過程で 経費がかかります。
設備費やストック費用、利子なども付加されるのは、 現代社会では避けられない現実です。
 例えば桧の柱を例にとると、山から市場に出された柱取用で多少節の ある特一等を対象にする丸太が立方m当たり3~4万円です。
これが柱用 に加工されて製品として市場で取引きされると約9万円(3mの4寸角で1 本4千円弱)となります。
ここに流通マージンが加算されてほぼ正常な 価格です。
 3~4万円の原木1立方mが、柱で1立方m9万円は高いと思われるかも しれませんが、丸太を四角の柱にするわけですから歩留まりを考えなけ ればなりません。
歩留り率で60%前後と見れば、9万円の柱製品を作るた めの丸太費用は5万~6万5千円という計算になります。
それに仕入れた 丸太が、全て予定通り特一等の柱角になるかどうかは製材して見なけれ ばわからないのですから製材業者の手にする金額は、全ての経費を含め て、立方m当り2~3万円ということになります。
 これを高いというかどうかですが、この丸太の価格では、山元生産者 の採算は極めて厳しいのが実態ですし製材業も経費さえ出ない状態が続 いているのです。
 鉄は素材が一トン当たり5千円程度で、板状になると5万円、車になる と更にその10倍以上といいますから、木材の付加価値費というのは、決 して高くはないことがわかると思います。
 ですから、木材を使うに当たっては、こうした流れも見て頂いた上で、 その価値との関係で価格を見てほしいと思っています。
(3)材料としての木材の価値と現実  
価値には、いろいろあって、使用することによる耐久性、健康性とい う価値、芸術性、意匠性、雰囲気づくりという視覚的価値、替わるべき ものがなく、類いないという稀少性という価値などがあります。
 それぞれの用途の関係で、求めるものが違いますが、いずれにしても、 生きて呼吸している植物素材ですから、適材適所で、木の特性を生かし て使えば、木そのものは数百年、千数百年という寿命を持っている分だ け生きることができます。
これは鉱物資源や化学物質を材料とした製品 との決定的な違いです。
 ですから、今日的に木のこころで価格を考えるならば、木に携わる人 たちの生活を適正に保障し、不透明な価格部分をなくし、使う人に負担 にならず、価値に見合っての価格で、ということになるのではないでし ょうか。
 以上、現状を容認すべきだということではなく、木のこころと現実社会 の両面から木材業界としては、本格的に生産から流通に至るまでの整備、 材料提供のシステムづくり、価格の透明化の取り組みをすべきだというこ とをつけ加えておきたいと思います。
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