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この木どんな木 

クリ(栗)



最高の耐久性を誇る高木の落葉樹 縄文時代から建築の主流を担う 属科 ブナ科クリ属
名前 クリ(Castanea、Crenata)
由来 Castaneaはギリシャ語のCastana(栗)からきた古代ラテン語
   Crenata 円鋸歯状の

食と住の主役だったクリ
 童謡「里の秋」に歌われるように、食 するクリは日本人には馴染みが深く、秋 の味覚を代表する果実のひとつとなって いる。
栗羊羹や栗御飯、天津栗や丹波栗 の甘露煮、お節料理の栗金団などと食す るクリは季節を問わず数多い。
戦国時代 頃からだろうか、出陣の時には勝栗と称 して食べたし、非常食、保存食用にも重 宝されていた。
 もっと古くは縄文時代の主食が栗であ ったことは、三内丸山遺跡から明かにさ れているし、縄文人が高度な知能と文化 を持っていたことが、当時のクッキーか らも解明されている。
クリやクルミの実 に鹿や鳥の肉、骨髄、血、卵などを均質 に摺り合わせ、250℃で焼いたものが、 一かけらで600カロリーもあったこと が分析され、その保存性は再現実験でも 六年経っても腐らないという。
 これは主食にされるほどクリが良質な 果実であったということと、主食とする に足りるだけの栗の木があったというこ とになる。
 氷河期が終った今から9000年前頃 の日本は、東日本の平地の冷温帯性広葉 樹のブナ、ナラ林が、西日本の平地には シイ、カシなどの暖温帯性の常緑広葉樹 があり、この中間帯にコナラ、クリなど の暖温帯性落葉広葉樹があったとされて いる。
この林帯は中部山地と東北内陸部にも っとも広く分布しており、縄文土器文化 を誕生させる土壌になったとされている。
これが約5000年前頃の縄文中期にコ ナラ、クリ林帯の文化が最盛期を迎え、 半栽培が始まり、四千年前頃の縄文後期 に根栽栽培が取り入れられているという。
(以上、本誌第3号「広葉樹文化を語 る―歴史の中の広葉樹」岸本潤著を参照)  このように縄文時代のクリの実が、食 生活の重要な柱であり、5000年前頃か らは栽培も始められていたということは 同時に、クリが住まいづくりの担い手で あったことを窺わせている。
 事実、近年発掘されて話題を集めてい る青森県の三内丸山遺跡は、縄文前期か ら中期にかけて何千年も続いたもので、 その調査を通してこれまでの縄文史観の 多くが覆されている。
その遺跡には、直 径1m近く、高さ数10mのクリの木を 使った大型の建築物が多くあったことが 判明し、その遺跡の周辺は明らかに栽培 していたと思われるクリ林が広がってい ることも判明している。
 その他の遺跡からもクリ柱が多く見つ かっていることから見ても、クリが縄文 時代の最も重要な建築用の材料だったこ とは間違いない。
 縄文人の文化水準や意識の水準が、現 代人が考えているよりははるかに高く、 同時に、自然の摂理に従い、自然と同調 共生して生きていたことは随所で明ら かにされているが、建築物との関係で 見れば、クリという木の性質をよく知り つくして使用していたということは理解 に難くない。
 クリの持つ最大の特長は、水にも虫に も強く、その耐久性はヒノキをも凌ぐと ころにある。
そこにクリの木があったか ら食べ、使ったというよりも、自然の恵 みとしてクリを受け止め、食し、使用し 、増やしたと考える方が自然のようであ る。

広い分布と多彩な用途
 クリは、北海道の石狩、日高以南から 本州、四国、九州・屋久島までのほぼ全 土に広がり、温帯と暖帯に挟まれるよう に自生していて、ここをクリ帯と呼ぶこ ともある。
 なかでも良材の産地とされてきたのは 、岩手、福島、島根、宮崎の諸県とされ るが、東北地方のクリ材は特に有名であ る。
関東では群馬県、東海地方では県境 を中心にした静岡県から愛知県にかけて の地域も良材の産地とされ、京都や兵庫 の日本海側にも良材がある。
クリは朝鮮 半島にまで分布しているが、日本特産の 落葉広葉樹の高木で、普通、高さ20m 、直径60㎝くらいのものが多いが、8 0㎝くらいのものもあり、まれには高さ 30m、直径1.5mになるものもある。
 クリは虫媒花で、6月頃に淡い緑の葉 の中から10㎝以上の淡黄色の花穂をつ け、離れてクリの多い山を見るとひとき わ白さが一面に目立って見える。
夏には イガ(毬)に包まれた実をつけ、秋には じけて実を落とす。
クリの花言葉は「公 平にせよ」である。
 クリは、はっきりした環孔材で、年輪 の境界に広葉樹のなかでは最も大きな部 類の導管が、帯状に配列して環状になっ ているので、年輪は極めてはっきりして いる。
このため、肌目の粗い木材と言え る。
辺材と心材の区別は明瞭で、辺材は 比較的に幅が狭く、やや褐色で、材にす ると年輪が太目の茶褐色の木目となって はっきり認められる。
 気乾比重は0.44~0.60(平均)~0.7 8で重硬な木材、最大の特色は耐久性が 高いことで、心材の保存性は極めて高く 、国産材の中では最高とされている。
そ のためよく水湿に耐え、しかも臭気の強 さで知ることが出来るように白アリ等の 虫や防腐菌にも強いことから、一般的な 用途として枕木、杭木や土木用の杭、橋 梁、水道木管によく使われた歴史がある 。
船舶や車輛用材としても評価されていたし、箱類、額縁、柄類、漆器木地など の器具として用いられた。
またタンス、 鏡台、火鉢、テーブル、椅子などの家具 や彫刻にも使われるなど、その用途は多 彩である。
建築用材としてのクリが縄文時代から 重用されたことは先に記した通りである が、雑木林の豊かな時代は、全国至ると ころで使われていた。
 その主な用途は、耐久性の高さから土 台や柱、梁などの構造用から、板として 床や壁面にも良く使われ、湿気の多いと ころでは、ヒバやヒノキと並んでクリが 使われた。
ただし、用材として使われ るクリは実の小さなヤマグリで、現在の 果樹用のクリは品種改良されたものであ る。
 最近では、木の家づくりへのこだわり 方が稀薄になったことや、木造の減少に 加え、雑木林の激減、戦前までの枕木・ 土木建築用材としての過伐による良材の 減少、そして住宅の洋風化などで、クリ を使う例は極めて少なくなっている。
そ れでも本誌に登場する建築家には住宅に クリ材を使う例が見られるように、クリ への愛着やこだわりは、新しい変化の兆 しを見せている。


自然な光沢と緻密な肌の名栗丸太
 銘木としてのクリには、豪壮な如輪杢 の現われた板類は特に価値が高い。
水土 の中に沈めてタンニンの作用で黒く変色 するのを待って、みやびやかな趣を現わ す方法をとることもある。
 かつては門扉や床板用として賞用され た素杢で、直径1m、厚さ18㎝の一間 板も今では、このような大径木が少ない ために価値は高い。
 クリの特殊な銘木として〝名栗〟と称 されるものがある。
床柱や茶室での中柱 、壁止木、化粧垂木、窓格子、袖柱、竿 縁、欄干、手すりなど、その需要は広範 にわたっている。
これは材の断面を六角 形にするものが多く、その面に凹凸の形 で斧ではつり加工した棒状で、その一辺 は細いもので1.5㎝。
太いものでは13㎝ くらいのものまである。
 細いものは天井竿縁、格子、壁止め、 床縁などに、太いものは床柱、棚、欄干 などに使われた。
特に京都では数寄屋を はじめとしてよく使用されてきた。
名栗が銘木としての使い方をされ、今 もそれが残されているのは、他の材種よ りも、はつり目が自然の光沢とその緻密 な肌に独特の魅力があり、しかも素朴な 感じが他に見ることのできない栗の固有 性によって、その価値が認められている からと言える。
 
この名栗丸太は、天保年間(1830~18 43)、京都府の杣職が創製して売り始めた ものらしく、有名な栗丸太から名栗と名 付けたと言い、産地は京都の丹波方面で 、奈良、越前でもかなり産出したという。
 名栗用のクリは通直で、枝下が長く、 なるべく老齢なものとされる。
老木であ るほど材質が緻密で光沢があり、はつり も容易で、製材後の反りも少ないためで ある。
伐採は春、秋の二期に行い、乾燥 する前に3mに切断する第一粗料し、こ れを互い違いに削る第二粗料して名栗は つりを行う。
 名栗のはつりは、昔は手斧で行われた が、明治後期あたりからノミを使うよう になった。
波型、竹節型、突鑿の3種が あって、いずれも主に6角形とするが、 時には8角、5角、4角もつくられる。
はつり加工された材は約3時間、流水中 に浸して斧垢のなくなるまで洗浄してか ら日陰で乾燥する。
 名栗の品質は、はつる加工の巧拙や材 質の緻密、色沢などにもよるが、白色を 良しとし、赤黒色をおびたものは不良と されている。
 現在では機械加工による名栗もある。
 クリの今後の供給の可能性については、 先に記したように過伐や皆伐で激減し、 人為的な育成もなかったこともあり、 ブナ、ナラなどの冷温帯性広葉樹に比べ れば、資源量としては、はるかに及ばな いが、わが国の広葉樹資源の中では上位 を占めている。
幸か不幸か、多量伐採が あったものの、戦後は需要が著しく減少 したことで伐採量も少なく、天然更新も 良好な樹種であることから、今後の育成 と供給に期待が寄せられている。
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