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木の家づくり各地の動き

京都府福知山市・㈱舟越工務店

こころが通う本物の木の家づくり
自然を取り込み、広がる視線
山仕事に関することで編集室へ質問の電話が入ったのは6月後 半だった。
聞けば、新築住宅の見学会の案内チラシを作るためと のこと。
場所は、京都府の福知山市近辺と言うので、そのチラシ をFAXで送ってもらった。
7月の土・日を2週にわたっての新築2棟の見学会だったが、 都合のつけられた2週目の見学会に車を走らせた。
建てたのは京都府福知山市に事務所を持つ㈱舟越工務店(舟越 英一社長)で、その日の見学会場は、福知山市からさらに車を走 らせた大江町金屋であった。
見学会用の旗が立ち並び、受付も設けられている。
迎えてくれ たのは、設計を担当する長男で専務の英幸さんと工事を担当する 弟の義明さん。
2人の説明を聞いて邸内をひとまわりする。
まず気がついたのは空間の広さだ。
当面は、年輩の奥さんが 1人で住むということで、一階は、やや広めのリビングと和室の 床の間が中心で、2階が2室だから、それほど大きな造りではない。
そこに空間を感ずるのは、バリアフリー感覚で楽に移動できる ように床の段差をなくし、引戸を多用している。
床の間とリビン グとの間の3枚襖も壁の中に納まって開けっ放しで、2階へと吹 き抜けもあるからだ。
それ以上にリビングが前庭に面して大きく 開かれたガラス戸で、外へのつながりを感じさせてくれるからだ。
窓は、眺望や前庭を室内から楽しめるようプランされ、窓の位置 の配慮が窺える。
老朽化した母屋を壊して造ったのがこの家だが、庭は、建て替 える前からのお気に入りで、モチの  木と覚しい太い樹や石灯籠に置き石、それに小さめの樹たちが あり、その先にはのどかな田園が広がっている。
夏には、少し先 の河原で行われる名物の花火大会も、そこから堪能できるという。
リビングを中心に床の間やダイニングへの広がりを持たせ、ガラ ス戸を開けて庭から外の景色までの一体感が、のびのびとした広 がりと落ち着きを感じさせてくれる。
リビングの木の床は、施主の要望で建材フロアを使っているが、 壁の腰には地元の桧の板を横張りにして使い、随所に丹波産の杉 も使っている。
天井はすべてはサワラのムク板で仕上げている。
壁は薩摩中霧島壁というシラス(火山灰)を使った調湿効果や 消臭効果の高い土壁が塗られている。
フスマの和紙やデザイン性 を考えた丸柱の化粧紙、吹き抜けにぶら下げた照明をつつむ布など、 随所に他ではあまり見られない材料を使っている。

プランニングに当たっては、地元の材を中心にしながらも、勉 強し、よい材料を探しては使っているのだと言う。
自然の素材を 使いながら、外からの光や風、香り、音をほどよく取り込んで流 し、視線が広がる造りを大切にしたいという英幸さんである。
その意味では、前庭を残したいという施主の想いは、英幸さん の考えの中にスッキリ収まるものだった。
英幸さんの家づくり思想の骨格をなしているのは、自然との共 生を大前提にしながら、片意地を張らないデザインで、なるべく すっきりと和のこころを表現したいというところにあった。
だから、柱や梁はムク材を使い、現わしの真壁づくりの家が多 い、この家もそうだったが、予算の関係で一部は集成の化粧柱を 使ったとのことだった。
施主が高齢になっても使いやすく、住みよい家にと心がけたこ の家は、フラットな動線の広がりで、自然と一体になれて圧迫感 がなく、ずっといても落ち着けるようにとの想いと心配りが生き ている。
ムク板での造り付けのカウンターとキッチンがリビングに続い ており、キッチンの丸窓は、三和土横の丸窓を通して、訪者が庭 の小石を踏んで来れば見えるようにしてあるのもにくい心配りで ある。
2階からの眺望は一段と広々としており、丹波の山々まで若い 稲の波が見え、暑い夏の日なのに吹いてくる風が美味しくて深呼 吸がしたくなる。

施主との共同作業で喜ばれる家を
1階にも2階にも前庭に向かってムク板を張ったやや広いバル コニーが、濡れ縁のように設けられている。
夕涼みにもってこいの場所だ。
そこで父である社長の英一さんと しばし話し込む。
創業何年かと聞くと、「さあ~」と言ってはっきりしない。
15歳 の時に大工さんの丁稚に入り、数年で自分でやり出して以来だか らということなので、年令を聞くと「55歳だ」と笑って10歳 ほどサバ読みをしてくれる楽しい人である。
家づくりを始めてこの方、ずっと木の家づくりにこだわってい て、年間5~6棟以上は造らないという。
OMソーラーも取り入れているが、電子技法の協議会のメンバ ーでもある。
だから炭についての知識と実用は人後に落ちないも のがあり、この家にも5tの活性炭を埋設しているとのこと。
上を指差されて見上げると、庇が長めに出ている。
この地での 夏と冬の日射しを計算して、冬日が家に入り込み、夏日を遮切る のにはこの長さが必要だという。
至るところに心配りが見られるが、「喜んでもらえる家をつく るのが仕事だ」と言い、「予想以上に良かったと言ってもらえる ものをつくることを心懸けているから、1軒1軒が勝負」という 語りには、家づくりへの情熱と自信が浸み出ている。
「だから 急いでやらないし、追いかけて仕事をとることもしない。
造って くれという人とは1年から1年半はいろいろと話し合い、相談に も乗って、いざ建てるという時には、もう本当は姿・型は出来上 がっている」と言う。
その1年以上もの間、施主と話し合いで、どんな家、どんな間 取りに、どんな材料、予算などすべてを施主と話し合いながらす すめる共同作業だという考えがある。
それが待ち切れず去って行 く人もいるが、それはそれで構わないと思うから、決して追いか けないという。
新しい家を建てる度に、その周辺を中心に案内チラシを配るな どして完成見学会を行っているが、その日も若い夫婦を中心に次 々と見学者が訪れて きて応対に忙しくしていたが、その中には、以 前に建ててもらった人も居れば、待機中の人もいて、プランの相 談をしたり、材料の説明を聞く姿も見受けられた。
英一さんは、建てる家に自信を持っているが、仕事そのものに も誇りと気概を持っている。
「本当によかったと喜んでもらえる木造の家をつくることは、 施主にもそうだが、大袈裟かもしれないけれど社会のためにも 、ひいては地球のために貢献することになると信じている。
世の ため人のために生きることで、その結果が会社に返ってくるのだ と思っている」とその信念を語ってくれた。
そして、「同業者を見ても、後継者がいなくて苦しんでいると ころが多い中で、2人の息子が、しっかりとやってくれるので、 任せ切りで、何もすることがない」と言いながら見学に来た年輩 の人から社長を名指しで説明を求められるもしているし、施主に なる予定の人との共同作業も社長の仕事である。
口では「もう年だし」とか「息子任せ」と言いながら情熱は色 褪せることはなさそうである。
「自然が相手の仕事だけれど、人間も自然のもの、人間として 生かされている以上、神の心に従うのが原点だと思っている。
だ から、死ぬまで働こう。
生きてきたという証しを残そうと思って いる」と語る英一さんに、年令は関係ないことのようだ。
こんな考えが貫かれた舟越工務店の仕事だから、喜ばれる良い 家を、良い材で、なるべく安くという努力がいつもあるし、日下 、老人の住む離れを1000万円以下でつくれるようにと開発中 であるという。

地元の木と自然の素材を生かす
英幸さんともう一度話しをしていると「本当は先週の家も見に 来てほしかった」という。
綾部市に新築した木造2階建ての家は、施主のおじいさんが植 え杉の木を切り出して製材し、柱・梁の構造材と板材もほとんど それを使った家だったとのこと。
写真を見せてもらい説明を聞くと「自然の力を生かし、5感に心 地いい家をめざし、その杉の木を中心に木、土、紙、塗料をすべ て自然の素材を使った」「オープンなU型キッチンもムク材を使 った造り付けの収納を設けている」などを特長とし、広々と住ま える開放的で、視線が広がるプランにしてあるとのことだった。
少々残念ではあったが、写真を借りることにした。
京都の奥座敷、福知山で本物の家づくり、木の家づくりを見、 日本のこころに触れる取材見学であった。
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